国際宗教自由サミット2026、 サーラ・クック(ETAC)とサミール・ゴスワミ(GRC)が登壇
【2026年2月2日 ワシントンD.C.】2026年国際宗教自由サミット2026 International Religious Freedom Summitで、サーラ・クック氏(ETACを代表)およびサミール・ゴスワミ氏(Global Rights Complianceを代表)は、異なるパネルで登壇し、中国における臓器収奪問題を取り上げた。
クック氏は「迫害が激化する前に危険信号を見極める」“Identifying Reg Flags Before Persecution Escalates” と題するパネルに参加し、以下の三点について論じた。
- 中国における生体臓器収奪とは何か?
- 他国の倫理的な移植制度とどのように異なるのか?
- 宗教的少数派を標的とするという初期の警告サイン(レッドフラッグ)は何だったか?そして今も継続しているのか?
ゴスワミ氏は「地域の勝利から世界的影響へ――宗教の自由のための地域的アドボカシーをいかに世界的政策の成果へと結びつけるか」“From Local Victories to Global Impact – Connecting Local Advocacy to Global Policy Successes for Religious Freedom“と題するパネルに登壇した。同氏は、国際犯罪および人権分野を専門とする国際法律事務所であるGRCが、ETACの委嘱を受け、臓器収奪をビジネスと人権の観点から評価した経緯を説明した。その成果として生まれた「Do No Harm」の枠組み(Do No Harm framework )は、明確かつ実践的な指針を提示することで、各種機関が、臓器収奪を助長してしまうことのないようにはかっている。
以下は各セッションの詳細と、二人の発表の抜粋。
Panel:
迫害が激化する前に危険信号を見極める
Identifying Red Flags Before Persecution Escalates
2月2日(月) 分科会セッション2:認識を高める
Monday, February 2. Breakout Session 2: Awareness Track

Image 1: パネリストとしてのサーラ・クック氏
モデレーター
レイチェル・マイナー,Bellwether International
スピーカー
サーラ・クック, International Coalition to End Transplant Abuse in China(ETAC)
ラニア・ディーン, AIDPAC
ジョナサン・ドゥアルテ, Nicaragua Freedom Foundation
サーラ・クック氏のスピーチ概要:
「中国(臓器収奪)法廷」(民衆法廷)は、5日間にわたる公聴会を含む12か月間の検証を経て、合理的疑いの余地を超えて全員一致で以下のように結論付けた。すなわち、「臓器収奪は、中国全土において長年にわたり大規模に行われてきた」こと、「法輪功学習者は臓器供給源の一つであり、おそらく主たる供給源であった」こと、さらに「ウイグル人に関しては、とりわけ彼らを『臓器バンク』とし得る規模の医療検査が実施されていた証拠がある」という点である。
また同法廷は、これらの人権侵害を支えるインフラが解体された証拠は存在しないと認定し、この行為は現在も継続していると結論付けた。
…
この問題は、宗教迫害におけるより広範なパターンーーある集団に対して洗練された抑圧手法が、やがて他の集団へと拡大していくという構図ーーを浮き彫りにしている。反法輪功運動やチベット抑圧で強硬に対応をしていた一部の官僚は、ウイグル人の拘束が激化するのと時を同じくして新疆へと昇進・異動した。また、新疆で新たに洗練された手法は、現在では中国の他地域へも広がりつつある。
このため、警告サインを察知するうえで、異なる共同体にまたがる抑圧を注視することは不可欠。中国国内にとどまらず、より広範な信徒に危険が及ぶ可能性がある。
…
国際社会ができること
- 中国で臓器収奪が停止が明確になるまでは、中国の病院との臓器移植関連活動に関する協力を回避すべき。また、中国の病院と臓器移植に関して何らかの協力を行う場合には、既存の研究、学術論文、病院、医師の過去の実績に関する各種ディレクトリなどを活用し、十分なデューデリジェンスを実施すべき。これから発表される報告書では、わかりやすい付録を含める予定。関連情報の多くはすでに公開されている。
- 協力を制限し、中国で臓器移植を受けるために渡航する外国人患者への医療費償還を制限し、過去の人権侵害に関与した当事者や医師に制裁を科し、被害集団に対して行われた人道に対する罪およびジェノサイドを認定する立法を可決すべきである。すでに英国、イスラエル、台湾など複数の国がこの種の立法を採択しており、米国でもいくつかの州が同様の措置を講じている。連邦レベルでは、「法輪功保護法案」「臓器収奪阻止法案」の二つが現在、可決を待っている。中国やその他の国で臓器移植を受けて帰国した患者の事例を報告することを、医療専門職に義務付ける規則の導入も重要である。
- 宗教上の理由による良心の囚人の拘束状況を厳密に追跡すべき。匿名状態を解消することは、臓器収奪のみならず、拷問やその他の虐待から身を守るための重要な保護手段。中国のような国での拘束が圧倒的な規模。より多くの資源と資金を宗教コミュニティー、人権団体、USCIRFやCECCのような政府機関に提供し、より完璧な記録を維持し、拘束者名簿を中国政府に伝達する体制を整えるべき。たとえ直ちに釈放されなくても、国際社会が当該人物の拘束を把握していることを示すこと自体が、一定の保護効果をもたらし得る。
Panel:
地域の成功が世界に影響――宗教の自由のための地域的アドボカシーを世界的な政策成果へ
From Local Victories to Global Impact – Connecting Local Advocacy to Global Policy Successes for Religious Freedom
2月2日(月) 分科会セッション2:説明責任
Monday, February 2. Breakout Session 2: Accountability Track
草の根の活動が、いかに宗教の自由に関する政策の変革を促進するかを探究。事例研究を通じて、専門家らは、地域レベルのアドボカシー、計画的な訴訟、NGOの支援が、宗教迫害をいかに効果的に是正してきたかを示した。討議を通して、国内における成果や非国家の主体に法的に挑むことを分析し、深遠かつ前向きな変化を実現するための応用可能な戦略と具体的なプロセスが見出された。
Image 2: パネリストとして参加するサミール・ゴスワミ氏(右端) 写真提供 @IRFSummit via X.
Speakers
モデレーター
レイチェル・マイナー,Bellwether International
スピーカー
レベッカ・カタルディ, International Center for Religion & Diplomacy
カリール・タヒール・サンドゥ上院議員, パキスタン上院
ドルクン・イサ, ウイグル法廷
サミール・ゴスワミ, Global Rights Compliance(GRC)
サミール・ゴスワミ氏のスピーチ概要:
生体臓器収奪:害するなかれ
Forced Organ Harvesting: Do No Harm… この取り組みから「Do No Harm」(害するなかれ)の法的助言および政策指針を策定するに至り、英国医師会とともに発表され、カナダ医師会の支持を受けた。臓器収奪が法的課題であると同時に、医療倫理の問題でもあることを示すものである。(日本語参考サイト)
「害するなかれ」の枠組みは、「あらゆる疑いを超えて証明されているのか」という観点から「臓器移植濫用に関する信頼に足る証拠が存在する場合、我々はいかなる責任を負うのか」という観点へと意図的に転換した。
米国法および国際基準の下では、「決定的証拠」が出るまで待つことは正当な弁明ではない。人権デューデリジェンスは、重大な被害が生じるリスクが存在する場合、特に国際犯罪の関与がある場合に、行動を求めるものである。関連する米国の法的枠組みとして、人身取引被害者保護法(Trafficking Victims Protection Act)が挙げられる。また刑事上の共犯理論では、支援、訓練、資金提供、協力といった行為に対しても責任を問う。臓器収奪は、人身取引、殺人、共謀に該当することから、米国法の下では違法である。臓器収奪のみに特化した単独の制定法は存在しないものの、既存の連邦法により、これを禁止し、刑事訴追、制裁措置、民事責任の追及は可能である。残された課題は違法性の有無ではなく、執行の徹底および共犯の防止にある。
米国、および対中政策に関する列国議会連盟(IPAC:Inter-Parliamentary Alliance on China)を通じての同盟国の間でも、臓器収奪に関する公的資金の拠出を禁止し、医療または研究協力より人権デューデリジェンスを優先させるべきだとする超党派の機運が高まりつつある。「Stop Forced Organ Harvesting Act」(臓器収奪阻止法案)は下院をほぼ全会一致で可決し、現在、上院での審議・採決を待っている。
GRCの「害するなかれ」の指針では、臓器移植は単独で行われるものではないという極めて重要な現実に焦点をあてる。訓練を受けた外科医チーム、麻酔科医、看護師、搬送体制、データ管理システム、制度的な連携が不可欠である。中国の場合、この仕組みは国家によって統制され、国家資源によって支えられ、国家の後ろ盾の下で運営されている。
- 第一に、医療機関、学術機関、研究機関は、一般的な倫理声明ではなく、非倫理的な移植、臓器売買、臓器収奪に直接取り組む、明確な人権に関する方針を採択すべき。
- 第二に、該当する機関は継続的に人権デューデリジェンスを実践する必要がある。一度限りの確認では不十分である。臨床研修プログラム、客員研究員制度、共同研究、学術出版、学会、助成金に関連してのリスク評価が含まれる。
- 第三に、本指針では、透明性の欠如それ自体が危険信号であると明示する。移植制度、臓器提供者のデータ、機関としての臓器移植の実態が独立した形で検証できない場合、その機関への関与は高リスクとして扱うべきである。
- 第四に、「害するなかれ」では、「決定的証拠」を実際に起っていることを証明する基準とすることを否定する。該当する機関は、合理的疑いの余地を超える証明を得るまで待つ必要はなく、信頼に足る証拠が存在すれば責任が生じる。
- 第五に、リスクの防止または軽減が不可能な場合には、関与の停止が求められる。既知のリスクが存在するにもかかわらず協力を継続することは中立ではなく、国際犯罪への共犯とみなされ得る。
最後に、Global Rights Compliance(GRC)は説明責任を強調する。該当する機関は意思決定を文書化し、監督の機能を制度内に組み込み、臓器収奪への関与を防止するための責任が、組織の指導層レベルで負われるよう取り計らう必要がある。
医療革新は人間の尊厳を犠牲にして成り立つものであってはならない。臓器収奪は単なる医療犯罪ではなく、宗教的・民族的少数派を標的とする深刻な人権侵害である。「害するなかれ」の枠組みは、該当する機関が臓器移植濫用を、沈黙しながら助長することのないように、明確かつ実践的な指針を提示する。



