2025年7月10日: 新疆ウイグル自治区における移植施設増設計画に関して、国連特別報告者に対し、共同NGO書簡が送付された。この書簡は、施設の増設に関する懸念を具体的に概説し、国連特別報告者に対し、取り上げられた懸念と中国当局に問いかけるべき関連質問を盛り込んだ緊急の共同書簡を中国政府に送付するよう要請している。
この書簡は、以下の3つの主要な懸念事項を詳述している:
- 新疆ウイグル自治区の住民が置かれている状況を考慮し、臓器提供者からのインフォームド・コンセントが欠如している可能性、および臓器提供を強要されるリスク。
- (i) 新疆ウイグル自治区の臓器提供率が全国平均より低いこと(ii) 同程度の人口およびGDPの地域での移植施設数との比較から、増設計画は不釣り合い。
- 増設計画は、新疆ウイグル自治区における臓器収奪を含む、現在進行中の人権侵害を反映している可能性がある。
以下、本文からの抜粋:
我々は、中国の新疆ウイグル自治区における人体臓器移植施設を増設するという自治区衛生健康委員会の最近の発表(1)に関して、重大な懸念を表明する。2024年12月の計画では、「2030年までに同地域にさらに6つの人体臓器移植医療機関を開設する」としている。
良心の囚人からの臓器収奪が中国で大規模に行われてきたという信頼できる証拠(2)と、大規模な収監、強制労働、生体認証データの収集(3)などの同地域で継続する迫害(明確な記録あり)を鑑み、この発表は深刻な人権上の懸念を提起するものである。
我々は、国連特別報告者が以下に概説する懸念を真摯に受け止め、中国政府に緊急の共同書簡を送付するよう要請する。
…
2. 不釣り合いな増設
臓器提供統計、人口、経済発展について我々が把握していることを鑑みると、中国の他の地域と比較して、移植施設の不釣り合いな増設である。これは、2024年から2030年の新疆臓器移植病院計画の最も顕著な側面の1つ。
新疆ウイグル自治区の臓器提供率は人口100万人あたり0.69人と報告されており、全国平均の4.66人を大幅に下回っている。それにもかかわらず、同地域は2030年までに移植病院の数を増やす計画だ。それには新疆の各地に6つ(7)の新しい施設の設置が含まれる。自発的な臓器提供制度が確立されるには通常何年もかかる。さらに新疆では、ウイグル人や他の少数民族への迫害がもたらす広範な不信感があり、臓器提供制度の確立の過程は複雑である。
新疆の移植施設は、中国内の同じ規模の他省と比較して著しく規模が大きい。人口が同程度でGDPが同程度かやや高い他省では、新疆よりも施設は少なく、近い将来に新しい施設を建設する計画も公表されていない。例えば、甘粛省の人口は約2500万人(8)(新疆は2590万人)で、GDPは新疆よりわずかに低い。甘粛省には現在、4つの認可された移植センター(9)(甘粛省立病院、蘭州大学第一病院、蘭州大学第二病院、蘭州軍区蘭州総病院)がある。これらの施設は、肝移植(1施設)と腎移植(3施設)を専門とする。
吉林省の人口は約2350万人で、GDPは新疆よりわずかに低い(下表参照)。吉林省には、認可された移植センターは吉林大学第一病院の1つしかない。中国国家衛生健康委員会によると、この認可施設は腎移植(10)に対応している。
山西省と貴州省はどちらもGDPがわずかに高く、人口はそれぞれ新疆より約1000万人多い。両省とも、新疆よりも移植施設は少ない。(表1参照)
新疆省
比較すると、新疆には現在、幅広い種類の移植を行う3つの認可された移植センターがある(11):
- 新疆ウイグル自治区人民病院(心臓、肺、肝臓、腎臓)(12)
- 新疆医科大学第一付属病院(肺、肝臓、腎臓、膵臓、小腸)(13)
- 蘭州軍区ウルムチ総病院(腎臓)(14)
2025年から2030年にかけて増設される新しい施設には「2030年までに同地域にさらに6つの人体臓器移植医療機関」(15)(16)が含まれる。具体的にはウルムチに4つ、南疆に1つ、北疆に1つ、東疆に1つである。これらのセンターは、様々な臓器に対して異なる能力を有する(17):
- 6施設で心臓移植が可能となる
- 3施設で肺移植が可能となる
- 4施設で肝移植が可能となる
- 5施設で腎移植が可能となる
- 4施設で小腸/膵臓移植が可能となる
これにより、2030年までに新疆省の918の移植センター全体での移植能力は、心臓移植7施設、肺移植5施設、肝移植6施設、腎移植8施設、小腸/膵臓移植5施設となる。

既存の移植能力、人口、公式の低い提供率を考えると、新疆でこれほど大規模な移植能力の増強が必要であるという明白な理由はない。特に、新疆の能力を同様の省と比較すると、この増設は疑問を呈するものだ。
…
国際機関や各国政府が、この計画の倫理性について中国政府に質問し、潜在的な乱用を防ぐための透明性と保護措置の強化を要求することが不可欠である。
我々は、上記の懸念を提起する緊急の書簡を中国政府に送付することを緊急に要請する。以下に我々の懸念を詳述した。この質問リストを用いて中国当局にはたらきかけることが可能。
懸念される状況について話し合い、質問に答えられるよう、オンライン上の会合を設けていただけることを願う。
以下を含む書簡の全文(英語)はこちらをクリック:
- 国連特別報告者名とNGO署名者の全リスト
- 声明を裏付けるすべての参考文献
- 中国当局者に問いかける可能性のある質問に関する付録。中国の臓器提供・移植セクターにおける継続的な透明性の欠如と、WHO指導原則・イスタンブール宣言にいかに違反しているかに関する説明。








