欧州議会は、
– EUと中国関係に関するこれまでの自身の決議を参照し、
– 2013年12月12日の中国における臓器収奪に関する決議【1】を参照し、
– 2016年4月12日に内部政策総局が発表した『中国における臓器収奪ワークショップの議事録』【2】を参照し、
– 2010年7月7日付欧州議会および理事会の指令2010/53/EU「移植目的のヒトの臓器の品質・安全基準に関する指令」【3】を参照し、
– 1948年の世界人権宣言および2009年の欧州連合理基本権憲章、特に第3条「個人の身体の完全性の権利」を参照し、
– 市民的及び政治的権利に関する国際規約、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約、1988年10月4日に中国が批准した「拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取り扱い又は、刑罰に関する条約」を参照し、
– ヒトの臓器売買禁止条約(欧州評議会)を参照し、
– イスタンブール宣言(臓器売買および移植ツーリズムに関する宣言)を参照し、
– 中国が1949年に署名した「ジェノサイド犯罪の防止及び処罰に関する条約」を参照し、
– 2021年6月14日付、国連人権専門家による中国における少数民族を標的としたとされる臓器収奪の報告に関する声明を参照し、
– 2021年11月29日に欧州議会人権小委員会が開催した中国における臓器収奪に関する公聴会を参照し、
– 2020年3月1日に公表された「中国(臓器収奪)法廷(China Tribunal)」による中国における良心の囚人からの臓器収奪に関する独立審理の最終判決を参照し、
– 議事運営規則第144条第5項および第132条第4項を参照し、
A. EUの対中国関係は、人権、民主主義、法の支配の促進および尊重を中心に据えており、EUの外部行動におけるこれら価値の堅持、中国の自国の発展と国際協力においてこれらの価値を順守するという約束を前提としている。
B. 習近平国家主席が2013年3月に権力を握って以降、中国における人権状況はさらに悪化し続けている。中国政府は人権および法の支配に対して、ますます敵対的な態度を示している。
C. 毎年世界で1万件の違法なヒトの臓器移植が行われている。世界保健機関(WHO)によれば、ヒトの臓器売買による利益は年間10億ユーロ以上にのぼる。
D. 中華人民共和国では、伝統的な価値観から自発的な臓器提供の割合が極めて低い。1984年、中国は死刑囚からの臓器摘出を認める規定を施行した。中国は2015年に「死刑囚の臓器を使用しない」と宣言し、国家献腎制度を立ち上げたが、この慣行を完全に禁止するには至っていないため、今なお合法である。
E. 中国における臓器移植制度は、臓器調達経路の透明性および追跡可能性に関するWHOの要件を満たしていない。中国政府はこの制度に対する独立した監視を拒否し続けている。自発的かつ十分な説明に基づく同意は、倫理的な臓器提供の前提条件である。
F. 臓器収奪は、本人の同意なく人を殺害し、その臓器を摘出して他者に移植する行為として理解されるべきである。この行為は、生命という基本的権利の甚だしくかつ断じて容認できない侵害である。
G. 国連「拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取り扱い又は、刑罰に関する条約」委員会および「拷問に関する国連特別報告者」は、囚人からの臓器収奪の申し立てについて懸念を示し、中華人民共和国政府に対して臓器移植制度の説明責任・透明性の強化および違反責任者の処罰を求めている。
H. 「中国(臓器収奪)法廷」【4】は、2020年3月に最終判決を発表し、中国全土で長年にわたり大規模な臓器収奪が行われてきたこと、法輪功修煉者がその一つ、そして恐らく主要な臓器供給源であったと結論づけた。中国政府はこの法廷への証言を拒否した。
I. 死刑囚および生存している囚人を臓器移植の供給源として多用することは、数多くの容認できない人権・医療倫理違反をもたらしている。
J. 2021年6月10日、国連人権専門家の声明によれば、中国の民族的、言語的または宗教的少数者の被拘束者は、自由意思や十分な説明に基づく同意なしに、臓器移植の適合性を調べるために血液検査や臓器の超音波・X線検査など医学的検査を受けているという、信頼できる情報が存在する。
K. 国連人権専門家は過去にも2006年および2007年に中国政府にこの問題を提起しているが、中国政府からの返答には、移植手術に使用された臓器の出所や、被害者の特定と保護、ならびに人身売買犯の効果的な捜査・訴追に資する情報共有体制などのデータが欠けていた。
L. 中国政府は、国連人権高等弁務官事務所への回答などを通じて、臓器収奪の告発を否定し、とりわけ法輪功修煉者が臓器目的で殺害された事実は一切ないとの立場を再三かつ全面的に主張している。
1. 中華人民共和国における囚人――特に法輪功修煉者――からの、国家主導による組織的・持続的・非人道的な臓器収奪の報告に対して、深刻な懸念を表明する。
2. 中国が「拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取り扱い又は、刑罰に関する条約」を批准しており、同条約が拷問その他の非人道的または品位を傷つける取り扱いや刑罰を絶対的かつ例外なく禁止していることを想起する。
3. 中華人民共和国において、死刑執行待ちおよび良心の囚人から生体臓器収奪を行う行為は、国際刑事裁判所ローマ規程第7条に定められた「人道に対する罪」に該当し得ると見なす。中国に対し、ローマ規程への署名および加入を強く求める。
4. 中国当局に対し、臓器収奪の申し立てに速やかに対応し、国連人権高等弁務官事務所など国際人権機構による独立した監視の受け入れを要請する。
5. 囚人や拘禁者が臓器提供について有効な同意を与えているかについて独立した監督体制が存在しない点に懸念を表明し、亡くなった被拘禁者や囚人の遺体の引き取りを遺族に認めていないとする報告について、中国当局からの説明がないことを強く非難する。
6. 中国当局に対し、囚人や被拘禁者への医学的検査について自由かつ十分な説明に基づく同意の取得を確保し、国際条約に沿って自発的かつ透明性のある臓器提供制度の規制枠組みを整備するよう強く求める。
7. EUおよび加盟国に対し、中国における臓器収奪問題をあらゆる人権対話で取り上げるよう要請し、EUおよび加盟国は中国での移植濫用を公に非難すべきであること、加盟国は自国民による中国への移植ツーリズム参加を防止するため必要な措置をとり、中国に渡航する自国民への啓発活動を強化することを求める。
8. 国連人権高等弁務官ミシェル・バチェレ氏による中国訪問を歓迎し、この訪問期間中も臓器売買に関する国連による調査を継続するよう要請する。
9. EUおよび加盟国に対し、第三国――特に中国の移植センターがウイグル族やムスリム系少数民族由来の「ハラール臓器」を宣伝している湾岸諸国のパートナー――との交流においても、臓器収奪問題を提起することを求める。
10. 臓器調達ルートの透明性・追跡可能性に関するWHOの要件を完全に順守するよう、中国に対し強く要請する。
11. 加盟国に対し、中国を含むEU域外諸国との保健および研究分野における条約や協力協定が、臓器提供および人体の構成要素や産物の科学目的での使用に関するEUの倫理原則を遵守することを確保するよう求める。また、加盟国の関係機関に対し、中国の機関との移植医療、研究、研修に関する協力の条件を評価し、再検討するよう求める。
12. 中国当局に対し、国連人権高等弁務官および国連人権理事会特別報告者が新疆ウイグル自治区を訪問する際に、自由で妨げのない、実質的なアクセスを認めるよう要求する。また、この問題について中国政府が国連機関と協力するよう求める。さらに、国連人権理事会に対し、臓器収奪問題を最優先課題として扱うよう強く要請する。
13. 本決議を欧州理事会、欧州委員会、欧州委員会副委員長/対外関係・安全保障政策上級代表、加盟国政府・議会、中華人民共和国政府・全国人民代表大会、国連人権高等弁務官へ送付するよう議長に指示する。
【脚注】
[1] OJ C 468, 2016年12月15日, p. 208.
[2] 「中国における臓器収奪ワークショップ議事録」(Proceedings of the Workshop “Organ Harvesting in China”)欧州議会・内部政策総局・政策部A(経済・科学政策)、2016年4月12日発表。
[3] OJ L 207, 2010年8月6日, p. 14.








