国際心肺移植学会の方針声明は、Standard&Guideline(基準・ガイドライン)のセクションにも掲載されている。
2022年10月:国際心肺移植学会(ISHLT)は、中国における移植倫理および移植濫用に関する方針を発表した。この方針は、倫理的な臓器移植を規定する主要原則の概略から始まっている。
「胸部臓器移植は、重篤な心疾患や肺疾患を持つ患者に対し、他の人間から提供された生命維持に不可欠な臓器を用いることで、患者の寿命と生活の質を向上させるものである。それは医学的な営みであると同時に社会的な営みでもあり、倫理原則によって規律されている。これらの原則には、自己決定・人間としての尊厳の尊重、善をなすこと・害を及ぼさないことを含む有用性、そして公平な配分・健康の公平性・法的責任を含む公正がある。これらの原則は一体となって、胸部臓器移植において生じる複雑な倫理的課題に対処するための一般的な枠組みを提供している。」
本方針では、死亡患者および生体ドナーからの臓器提供の倫理原則や臓器売買などの問題、さらにとりわけ死刑囚の遺体から臓器を移植目的で取得する行為についても具体的に言及している。このような行為は、自発的な提供という原則に反しており、死刑囚やその家族が自由意思で同意できないため、重大な倫理上の問題があるとされている。
本方針は、中国で見られるこうした行為の影響についても論じている。
「中華人民共和国政府が、処刑された囚人からの臓器や組織を計画的、組織的に調達し続けている唯一の政府であるという多くの証拠があることから(7, 8, 9, 10参照)、前述の原則に鑑みて、中国においてヒトの臓器または組織提供に関する移植論文または報告を国際心肺移植学会では受理しない。この方針については、他国でも同意のないドナーからの臓器や組織が系統的に利用されていないか、規制の対象とすべきかを含め、こうした行為が独立した証拠に基づき停止されたことが確認されるまで、年次で見直しを行う予定である。」
国際心肺移植学会は、臓器や組織の提供・移植のあらゆる側面について、公正かつ適切な移植機会を確保するために、臓器待機リストの管理も含め、透明かつ社会の監視を受ける明確な方針が設けられるべきであると考えている。
参考文献(詳細は全文の声明(英語)を参照)
7 「中国(臓器収奪)法廷」:良心の囚人からの臓器収奪に関する独立法廷。最終判決および報告書。入手先:https://chinatribunal.com/wp-content/uploads/2020/03/ChinaTribunal_JUDGMENT_1stMarch_2020.pdf。参照日:2022年7月17日。
8 M.P.ロバートソン、R.L.ハインド、ジェイコブ・ラビー。死体臓器提供に関する公式データの解析により、疑問視される中国の臓器移植改革の信頼性。BMC Med Ethics, 20 (2019), p. 79
9 R.M.サード、A.J.カーペンター、T.A.ダミコほか。胸部心臓外科分野の移植論文における非倫理的研究。Ann Thorac Surg, 112 (2021), pp. 1746-1752
10 M.P.ロバートソン、ジェイコブ・ラビー。臓器入手により処刑:死亡したドナーからの臓器摘出という基本ルールに違反する中国。Am J Transplant, 00 (2022), pp. 1-9








