法輪功は数千年かけて個人的に伝承されてきた修煉法を1992年に一般公開したもので、道徳、心身向上の効果が口伝えで広まりました。弾圧前の法輪功学習者数は、610弁公室(法輪功撲滅のために設置された特務機関)の内部推定で7千万人だったと、かつて610弁公室に勤務していた亡命者・郝鳳軍氏がイーサン・ガットマン氏に明示しています1。
当時の党員数(6千5百万人)を越す人気、法輪功の説く道徳規範(真・善・忍の理念)や伝統文化への回帰は、無神論で恐怖を基盤に統治する共産党政権には脅威に映り、1999年7月に法輪功は禁止されます。法輪功を系統的に撲滅するために、特命・超法規的な権威を与えられた、中共中央委員会直属の610弁公室が1999年6月10日に設立され、各省・市・県・大学、政府機関および国有企業に設置されました。(参照:包括的な解説ブログ:法輪功について)
電話調査による裏付け
法輪功の臓器が使用されていることは、電話のおとり調査で中国の病院の医師が認めています。
i) 2006年の3月から6月にかけて、最初の報告書『戦慄の臓器狩り』のために行われた調査2:
◎調査員M氏:約80ヶ所の病院に電話し、10ヶ所の病院が臓器の出所は法輪功学習者だと認めた。
◎調査員N氏:40ヶ所の病院に電話し、5ヶ所の病院が法輪功学習者の臓器を使用したと認めた。36ヶ所の拘置所と裁判所にも電話をかけ、4ヶ所が法輪功学習者を対象とした臓器収奪を認めた。
ii) 2006年頃と思われるWOIPFG(法輪功への弾圧に対する国際追跡調査団)が腎臓斡旋のブローカーに対して行った調査の抄訳:3 :
法輪功学習者は、拘束された当初、出身地と名前を明かしたため地元に送り返された。その後、2003年ごろから、多くの拘束者は名前を明かさないようになった。何の記録も登録もない人々が、監獄でも強制労働所でもないところで機密に拘束され、コード番号が割り振られ、臓器収奪の対象となった。
iii) 2020年1月11日のWOIPFGによる第4軍医大学への電話調査:
調査者:この臓器は法輪功の人の臓器でよいですね。
医師: あなたが言っていることの意味がわかります。
ここでは法輪功など言いません。
質の良い臓器で持病がないことしか言いません。
電話調査の日本語字幕付き動画
[該当部分は3:53から4:09]
2006年の調査段階ではまだ最初の報告書が発表される前だったので、罪の意識なく公に認める医師がいました。最近の調査では、医師は直接認めることは避けていますが、問い合わせに対して“暗示”しています。
告発
それではどのような形で拘束され、臓器を摘出されているのでしょうか? 以下は法輪功学習者の収容所に関する告発例です。
1)アニー(2006年に初めてこの問題を世界に告発):
蘇家屯病院の統計ロジスティクスで仕事をしていた2001年、食糧の購買量が急激に増えた。5000~6000人の法輪功学習者が病院の裏庭に建てられた1階建ての建物に収容されていて、その後、地下の設備や他の病院に移送された4。
2)エドワード・マクミラン=スコット欧州議会議長代理(2006年5月19日から21日に訪中):
私は曹東氏に中国で臓器狩りの強制収容所の存在に気付いているかと聞いた。曹東氏はこのような強制収容所は確かに存在し、しかもそこへ送られた人の中には私の知人もいると述べた。彼は、法輪功学習者だった友人の遺体に、臓器摘出後に残された穴があるのを見たと証言した」。 曹東氏はエドワード・マクミラン=スコット氏と面会した後、直ちに拘束された。中共当局は9月に彼を甘粛省に移し、12月に四つの罪名で彼を起訴したが、裁判官は曹東氏の訴訟について、 当裁判所には裁く権利がないと明言した。なぜなら曹東氏の訴訟は北京にある法輪功取締本部 (610オフィス)に管轄されているからである5。
3)瀋陽軍区の軍医による証言(2006年3月31日):
法輪功学習者の臓器を摘出し、販売する蘇家屯秘密収容所のような施設は、全国に36ヶ所もある。蘇家屯秘密収容所の実在、および法輪功学習者の臓器売買、死体或いはまだ生きている人の焼却処分などは、全部事実である。私が知る限り、2005年初めに、蘇家屯秘密収容所に1万人以上の法輪功学習者が監禁されていた。今でも600~750人が収容されており、多くはすでにほかの収容所に移送された。私が見た内部の秘密資料によると、法輪功学習者を監禁する最大の秘密収容所は東北部の吉林省にあり、「672-S」という略称で、正式名称がなく、住所も分からない。全国各地で法輪功学習者や、重犯罪者、政治犯など12万人以上が収監されている6。
以上の証言は、迅速にレシピエントの血液型・組織型に合った臓器を用意するために、法輪功学習者から構成される生きているドナーバンクの存在を裏付けています。
- 『国家による臓器狩り』 自由社 第4章:「臓器を摘出された人数は?」 p.91
- キルガー、マタス『戦慄の臓器狩り』改訂版p. 24 (30)臓器狩りについての「告白」
- 「中国(臓器収奪)民衆法廷」 提出物Appendix9 中国語の音声録音と書き起こしの英訳
- キルガー、マタス『戦慄の臓器狩り』改訂版PDFページp.33【付録2】告白
- キルガー、マタス『戦慄の臓器狩り』改訂版PDFページp.26 32)補強調査より
- 『中国:秘密収容所臓器売買の実態』より