中国での「よこしまな」臓器移植犯罪、国連人権理事会で初めて提示
民衆法廷・最終裁定発表以降、高まる中国への世界的な圧力
(当日のメディア・リリースより邦訳)
【2019年9月24日】 国連人権理事会(UNHRC)で、中国での臓器移植犯罪についての発表があった。同理事会発足以来、初めてのこと。中国・民衆法廷の顧問ハミッド・サビ弁護士が「国連加盟国が中国での臓器狩りに取り組むことは『法的義務』」と宣言する歴史的瞬間であった[1] 。2019年6月、ジェフリー・ナイス卿(勅撰弁護士)が議長を務めた中国・民衆法廷が、人道に対する犯罪である中国の「よこしまな」臓器収奪犯罪を結審した後の国連での発表となった。
サビ氏は、国連人権理事会に、無実の犠牲者、主に法輪功学習者が「かなりの規模で何年にもわたり中国全域で臓器のために殺害されてきており、今日も続いている」という、本法廷による忌々しき結果を伝えた。中華人民共和国が、年間10億ドル市場と推定される[2] 容認しがたい産業で、無実の人々を臓器のために殺害していることを停止するよう、グローバルな圧力がかかるなかで、今回のスピーチは、中国国家が後押しする強制臓器収奪に対して国際措置をとるように要求するものとしては、最新で最高レベルのものである。
ジェフリー・ナイス卿(勅撰弁護士)(「中国の良心の囚人からの強制臓器収奪に関する民衆法廷」議長)は、別の国連イベントで同日、下記のように述べた。
「認めるには不都合な事実を、各国政府、国連機関、移植手術に関わる医師会の統治組織は、もはや避けることはできません。『中国・民衆法廷』の裁定で明らかにされた犯罪は即刻の措置を要します。国連および国際移植学会は『中国・民衆法廷』の裁定で示されたことを直視し措置を取るべきです。中華人民共和国に対する事例は証明できないと、これらの機関が都合よく『不確実性』を言い訳にした時代は過去のものとなりました」 ETAC(中国での臓器移植濫用停止)ネットワークの常務取締役スージー・ヒューも、最近の共同文書で、人身売買、法律、人権機関、奴隷制度反対の機関が、国連調査委員会に中国での強制臓器収奪に対する調査を要請していると発表している。
脚注:
中国・民衆法廷の最終裁定は、この野蛮な臓器売買を停止させろという国際的な声を駆り立て、世界的な措置への引き金となっている。多くの者は「あえて見ないふり」という選択肢はもはや存在しないことを認識している。
中国での臓器犯罪に関して、最初の米国の主要政党からの公的な声明は、米共和党全国委員会(RNC)からのものだった。2019年8月、「中国での非自発的なドナーからの臓器収奪は重大な人権侵害である」と非難する決議案を通過させた。
英国では上院議会が、世界保健機関(WHO)に中国・民衆法廷の結審を注視するように圧力をかけている。WHOは以前に、中国での移植手術は倫理的であると英国外務省にアドバイスしていたが、現在は「WHO加盟国―この場合は中国―の自己査定」に基づく情報を基盤としたアドバイスだったことを認めている。
英国では10月に非倫理的な移植ツーリズムを停止する議員立法法案が提出される見込み。カナダでは最近、臓器売買に関する法案を、上院・下院の両者が満場一致で支援している。
国連人権高等弁務官事務所、国連事務総長、国連加盟国に対して、中国での強制臓器収奪に対する国連調査委員会による調査を求める共同文書(18の国際機関が署名)が送付されている。
今回、国連人権理事会は、中国での強制臓器収奪問題に関する「中国・民衆法廷」の手厳しい裁定を知らされることとなった。この国際的な理事会は、47カ国から成り、世界のあらゆる人権の促進・保護を責務とする。国連人権理事会は、加害者を暴露し罰するための「中国での良心の囚人からの強制臓器収奪に関する国連調査委員会」を設置する権限を有する。
「国連および人権理事会が、中国での臓器犯罪を注視するよう促すことは我々の義務です。人権理事会はこれまで、世界のあらゆる人々の人権を保護してきました。このような犯罪がこれ以上継続しないように具体的な措置が取られることを心から望んでいます」国際的な弁護士で『中国・民衆法廷』で顧問を務めたハミッド・サビ氏はこうコメントした。 ―以上―
国連人権理事会とは?
国連人権理事会は国連制度内の政府間機関。世界中の人権の促進と擁護を高める責務を負う。人権侵害を違反する現状に取り組み、どのように取り組むべきかを勧告する。年間を通して注視すべき、人権を主題とする問題や状況を討議する力を備える。会合はスイス、ジュネーブの国連事務所で開かれる。47カ国の国連加盟国から構成され、国連総会が三年任期で指名する。2006年、国連人権委員会に代わって設置された。国連人権理事会のサイト(英語)
ハミッド・サビ:国際弁護士および「中国・民衆法廷」の顧問
ロンドンを拠点とする弁護士。国際的な人権・仲裁・訴訟を扱う。1980年代のイラン・イスラム共和国による政治犯の大虐殺を調査する独立民衆裁判で、顧問と報告担当官を務めた。
ジェフリー・ナイス卿:中国・民衆法廷議長
1971年より法廷弁護士。国連・旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷(the International Criminal Tribunal for the Former Yugoslavia)に取り組む。ジェノサイドに関わる数多くの事例を起訴。2001年11月から裁判の終わる2006年にかけて、元セルビア大統領スロボダン・ミロシェヴィッチの起訴に従事。プロフィールはこちらへ(英語)。
ダーバン宣言 アジェンダ・アイテム9
サビ弁護士は、アジェンダ・アイテム9の下、「ダーバン宣言」に関する複数の違反とりわけその第30段の「すべての形態の人身売買を予防し、これと闘い、廃止する緊急の必要を確認する」項目に対する違反に言及。「人種主義、人種差別、外国人排斥および関連する不寛容に関する国連世界会議」は南アフリカのダーバンで行われ、7000人以上の政府や民間団体の代表者が2001年8月31日から9月8日までのフォーラムに参加。同会議での採択宣言は「ダーバン宣言」(2001年)と呼ばれている。
「中国・民衆法廷」
「中国・民衆法廷」は、中国での良心の囚人からの大規模な強制臓器摘出に対する長年にわたる問責を受けて、世界で初めて独立した法的な分析を行った。最終裁定は2019年6月17日に発表された。
「中国・民衆法廷」は、独立した国際民衆法廷であり、12ヶ月かけて入手可能なすべての証拠を査定した結果、判事団全員一致で「法輪功およびウイグルに対する『人道に対する犯罪』は、合理的な疑いを超えて立証された」と結審した。同判事団は、中国が「犯罪国家」として認識されるべきであると判定を下し、各国政府および国際機関に対して、中国で行われている大量殺人を防止するための義務を果たすべきだと呼びかけている。
「中国・民衆法廷」は50名の証言者の口頭による証拠と、書面・映像による大量の証拠を1年かけて検討した。合計5日間の2回にわたる公聴会も含まれる。本法廷は、強制臓器摘出に従事してきた可能性のある中国国家、国家認定機関、中国の機関もしくは個人が、犯罪を行ってきたのか、行ってきたとすればどのような国際犯罪が行われたかを判定するために設置された。ジェフリー・ナイス卿(勅撰弁護士)を議長とし、他に、国際法、医療、ビジネス、国際関係、中国史のバックグラウンドを備えた6名の判事団に支えられた。
最終裁定には以下の結論が含まれている。(順不同)
4ページの最終裁定の要旨はこちらへ。 完全報告書がこれから発表される予定。
中国での強制臓器収奪について
強制臓器収奪は、臓器摘出のために人々が殺害されるという臓器売買の一形態。中国での移植手術のレシピエントには、中国国内の人々と、かなりの数の国外から中国への渡航移植者「移植ツーリスト」が含まれる。後者は、かなりの代価(肝臓移植は16万ドル)を支払うが、待ち時間が大幅に短縮される。米国、欧州、アジアからのレシピエントは一般に、留置所、刑務所、黒監獄に拘束されている無実の「ドナー」の殺害が自分たちの移植手術の源になっていることを認識していない。
犠牲者について
主な犠牲者は法輪功学習者。法輪功は、仏家功の伝統に則った温厚な精神修養法で、瞑想と気功、そして真・善・忍の理念に沿って自己を高める。中国国内で自由に法輪功を修めていた人の数が8000万人から1億人と推定された時点で、(訳注:党員数を上回ったため)中国共産党は1999年に法輪功を違法と定め、数十万人に対して拘束、拷問、臓器摘出による殺害を行った。また、ウイグル人、中国家庭協会、チベット人も、臓器のために殺害されていることが証明されている。
国際的な動向
– 英国では上院議会が、世界保健機関(WHO)に中国・民衆法廷の結審を注視するように圧力をかけている[1]。WHOは以前に、中国での移植手術は倫理的であると英国外務省にアドバイスしていたが、現在は「WHO加盟国―この場合は中国―の自己査定」に基づく情報を基盤としたアドバイスだったことを認めている。また、ドラキア卿は、「医療ツーリズムで中国に行く人々が、どのように臓器が入手されているかを認識できるように、『中国・民衆法廷』の報告書を英国外務省のウェブサイトに掲載すること」を勧めている。
注:[1]7つ目のコメント
– 中国での臓器犯罪に関する、米国の主要政党からの最初の公的な声明として、米共和党全国委員会(RNC)は、2019年8月、「中国での非自発的なドナーからの臓器収奪は重大な人権侵害である」と非難する決議案を満場一致で可決した。
– 国連人権高等弁務官事務所、国連事務総長、国連加盟国に対する共同文書では、国連調査委員会による中国での強制臓器収奪に対する調査を求めている。同書に署名した18の国際機関は、カナダ・拷問犠牲者センター、ウイグル・人権プロジェクト、オーストラリア・人権弁護団、共産党犠牲者追悼基金、人権のためのラウル・ワレンバーグ・センター、デシジョン・リサーチUSAなど。傑出した個人として、国連人権委員会のエリザベツ・エヴァット(AC)元委員、ニューヨーク大学医療科 医療倫理部長(部門創設者)のアーサー・キャプラン教授、国連人権委員会のセヴ・オズドウスキ元オーストラリア委員も署名している。(ご要請があれば共同文書を提供します)
– 英国では10月に非倫理的な移植ツーリズムを停止する議員立法法案が提出される見込み。カナダでは最近、臓器売買に関する法案を、上院・下院の両者が満場一致で支援している。
中国の臓器移植産業
中国の臓器売買市場は年間10億ドルと推定される。病院、医療スタッフ、その他のインフラへの多大な投資により、臓器移植産業は巨大な規模で発展してきた。2000年、仏家功の法輪功に対する迫害開始と時を同じくして、中国の臓器移植産業は激的に活発となる。主要臓器は数日、緊急の場合は肝臓が4時間以内に入手可能な状況となった。国営病院、数百の独立したウェブサイトが、心臓、肝臓、腎臓、角膜の移植を、信じ難い短期間で提供するという臓器の大量市場販売の広告が出始める。臓器の待ち時間は数時間から数日。倫理的な移植制度からでは不可能な時間枠である。この時点から、中国は法的な自主的ドナーのみを臓器源とすることは不可能であるという疑惑が浮上し、グローバルに問責され始めた。
「中国での臓器移植濫用停止 ETAC国際ネットワーク」
ETACは、「中国・民衆法廷」の発足は促したが、法廷からは独立した立場をとった。法廷顧問が判事団の盾となり、厳格にETACと離別させ、本法廷の独立性を確保した。ETACは人権擁護の慈善団体であり、中国での強制臓器収奪の停止に専心する弁護士、学者、倫理学者、医師、研究者、人権擁護者から構成され、この問題をリードする国際機関となった。中国の臓器移植は国際刑事犯罪の可能性があることを示す多数の団体からの報告書が累積していることを受けて、ETACは形成された。ETACに関する情報はこちらへ。
1)Hamid Sabi spoke under Agenda Item 9
2)“Human Harvest: China’s Organ Trafficking” documentary, Leon Lee, 2014「あえて見ないふり」という選択肢はもはや存在しない
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