決議案343号
2016年6月13日
臓器移植医療は、倫理基準に従って行われるのであれば、現代医学の偉業に挙げられる。
自主的で、情報を得た上での合意が倫理的な臓器提供の前提条件であり、自由を剥奪された囚人は、任意に合意する立場にないため、囚人からの臓器提供は医療倫理のガイドラインを侵害する、と国際的な医療機関が声明を出している。
中華人民共和国政府および中国共産党は、多くの臓器が囚人の合意なく摘出されているという報告を否定してきたが、同時に、移植制度への独立した査察を阻止している。
世界保健機関(WHO)の要請する臓器調達ルートの透明性と追跡可能性に中国は準じていない。
米国務省による『中国の人権に関する報告書2014年』によると、人権擁護グループは、囚人からの臓器狩りについて継続的に報告している。
中国臓器提供委員会の黄潔夫 主任委員は2014年12月に、中国は2015年1月1日までに処刑された囚人からの臓器狩りの慣行を停止すると発表したが、良心の囚人からの臓器狩りについては直接的な措置はとらなかった。
法輪功とは、「真・善・忍」の価値観を中核とし、気功の動作を行う精神修養法であり、1990年代に爆発的人気となった。
1999年7月、中国共産党は法輪功を撲滅するため、 徹底的な迫害運動を全国的に導入した。
1999年以来、数十万人の法輪功修煉者が労働改造所、拘束所、監獄に法の枠外で拘束されており、そこでの拷問、人権侵害は日常のことである。
多くの拘束施設および強制労働所では、良心の囚人である法輪功修煉者が収容者の大多数を占め、最も長い刑期、最悪の扱いを受けていると言われてきた。
2015年のフリーダム・ハウスの報告によると、法輪功の修煉者が良心の囚人の中で最大数を占め、拘束中に死亡するか殺害される高いリスクに直面している。
2006年、カナダの調査者であるデービッド・マタス氏(人権擁護弁護士)とデービッド・キルガー氏(元カナダ国務省アジア太平洋担当大臣)は、中国の法輪功修煉者からの臓器狩り疑惑を独立して調査した。その結果、法輪功修煉者が臓器のために殺害されている可能性はかなり高いという結論を導き出した。
マタス氏とキルガー氏は、非合法的な臓器収奪において、国内の治安局や軍病院など国家と共産党の存在を示唆してきた。
調査者であるイーサン・ガットマン氏(ジャーナリスト)は、中国の安全保障局 が1990年代、主に少数民族のウイグル人(イスラム系)から構成される人々から臓器狩りを始めたという調査結果を発表した。これにはウイグル人の政治犯も含まれる。
国連拷問禁止委員会と拷問に関する国連特別報告者は、法輪功修煉者からの臓器収奪疑惑に懸念を表明し、臓器移植制度における責任所在と透明性を強化し、乱用の責任者を罰するよう、中華人民共和国政府に要求した。
移植臓器販売の目的で宗教犯、政治犯を殺害することは、言語道断な行為であり、生命の基本的権利に対する堪え難い侵害である。
このため、米国下院は下記の決議条項を採択する。
- 中華人民共和国における国家が認める臓器収奪を譴責する。
- 全ての良心の囚人からの臓器収奪を即刻停止することを中華人民共和国政府と中国共産党に要求する。
- 中華人民共和国政府と中国共産党による、17年にわたる 法輪功への迫害を即刻停止することを要求する。法輪功修煉者その他の良心の囚人を全て即座に釈放することを要求する。
- 中国での非倫理的な臓器移植の認識を高めることに貢献するよう米国の医療界を促す。
- 臓器移植の乱用 に対して、信頼性、透明性のある独立調査を中華人民共和国が許可するよう要求する。
- 国家認定のもとで良心の受刑者から合意なく臓器摘出する問題を、年次『人権報告書』でより詳細に分析すること、臓器または人体組織の強制的な移植に従事する中国人その他の国民への査証発給を禁止している米国務省権限法 会計年度2003年232項(合衆国法典第8編第1182f条)の施行に関して下院に 毎年報告することを米国務省に要求する。