中国での臓器収奪を停止させる
最新報告会&意見交換会 (資料)
参議院議員会館 2016年12月1日
デービッド・キルガー
2006年、 デービッド・マタス氏と私はボランティアとして、法輪功の修煉者から臓器が収奪され売買されているという不可思議な主張を調査するように、法輪功迫害真相調査連盟(CIPFG)から依頼を受けました。報告書とその改訂版 http://organharvestinvestigation.net/、書籍Bloody Harvest(邦題:『中国臓器狩り』アスペクト社)を発表しました。驚くべきことに2000年から2005年だけで4万1500件の移植が行われており、唯一の臓器源は法輪功のものであるという結論に達しました。
2007年の段階で、望まない法輪功の修煉者から大規模に臓器が収奪されているという次のような結論に達しました。「腎臓、肝臓、角膜、心臓などの臓器が本人の合意なく収奪され、高額な値段で販売されている。自国ではこのような臓器の提供に長期間待たなければならない国外の患者にも、時には売られている」
証拠
人権侵害の国家犯罪が行われているという32種類の証拠のうちの3つの例を挙げましょう。
- 中国全域の病院、拘束センター、その他の施設に電話を入れ、家族に移植が必要だが、法輪功の臓器は販売されているかを尋ねた。多くの施設が法輪功の臓器を取引していることを認めており、その録音テープを書き起こし翻訳した。
- 中国から出国した法輪功修煉者の多くが、強制労働所で拘束されている間、系統的に血液検査をされ、臓器を摘出されていた。定期的に拷問されていたので健康診断ではなく、臓器移植に必要な検査だった。
- 遼寧省瀋陽市の蘇家屯区の外科医の元妻にインタビューを入れた。元夫は2001年から2003年にかけて、2,000人の強制労働所で拘束された法輪功修煉者から角膜をとったと妻に告白していた。これらのドナーは、他の外科医が他の臓器を取り出し、遺体を焼却したので、生き延びた者はいないと彼は語った。
The Slaughter
イーサン・ガットマン氏によるThe Slaughter(Prometheus社2014年)は、臓器収奪を法輪功、チベット、ウイグル、中国家庭教会の側面からとらえます。1999年以降、最も凶暴に、継続的に標的とされている法輪功に特に焦点をあてています。
ガットマン氏は、2000年から2008年にかけて、65,000人の法輪功修煉者、2,000~4,000人のウイグル人、チベット人、中国家庭教会の信者から臓器が収奪されていると算出した過程を説明しています。
The Slaughterは、政府、機関、個人に次のように呼びかけて締めくくっています。「どの欧米機関にも、(中国内の臓器移植に関する)医療改革の約束を口実に人道に反する犯罪への調査を妨害する中国共産党を許容するような権限は、道徳的に存在しない。 人類が生き延びるためには、大量虐殺へと陥った人間の堕落 に対して、その脈略を把握し査定し最終的に学び取る必要がある。…歴史は重要だ。中共の重罪を赦免できるのは犠牲者の家族だけだ」
上記二冊の著書に続く最新報告
2016年6月、これら二冊の著書の更新版として三名の共著による最新報告書がワシントン、オタワ、ブリュッセルで発表されました。http://jp.endorganpillaging.org/
- 中国全域にわたる数百軒の病院の移植プログラムを精査。医療関係誌、病院のウェブサイト、削除されているがアーカイブに保存されているウェブサイトから情報を得る。病院の収入、病床数、利用率、移植外科医とスタッフ、人材養成プログラム、国家資金、その他の要因を検証。
- 年間の移植件数は、中国政府発表の約10,000件とは対照的に、中国全域で約60,000~100,000件という結論に達した。
- 産業規模で国家が支持する臓器移植ネットワークが存在するかなりの証拠を提示。国家政策と融資を通して管理され、軍および民間のヘルスケア制度の両方が関与している。
同報告書は、下記の結論に達しています。
- 中国における臓器移植の件数は、中国政府の公式な数字をはるかに上回る。
- 膨大な量の臓器の供給源は、無実の人たちを殺害して成り立っている。すなわち、ウイグル人、チベット人、中国家庭教会の信徒たち、そして主に法輪功の学習者。
- 中国における臓器収奪は、共産党、国家機関、医療システム、病院、移植専門医すべてが共謀する犯罪である。
- 国際的な政府間のコミュニティーは、独立した機関を設けて、中国における臓器移植の乱用を調査するべきである。
- 世界の臓器移植のコミュニティーは、中国が設定された基準に達した時のみ、中国臓器移植のコミュニティーと提携すべきである。
- 中国への臓器移植ツアーは、医療の守秘義務を理由として情報が遮られないようにすべきであり、公然と監視すべきである。
- 中国が過去と現在の臓器狩りに関する完全な調査を受け入れるまで、いかなる国家も臓器移植のために中国へ渡航することを国民に許可してはならない。
立法者と政府ができること
- この問題について、加盟国の協力を強化することを特徴とする 欧州議会の2013年の決議案は有益です。
- しかし、現状ではDAFOH(臓器の強制摘出に反対する医師団)の創設者・常任理事のトルステン・トレイ医師による下記の提案などの措置が求められています。
- 各国の議会が取引された臓器の購入を違法とする。そのような措置を国外居住者にも適用し、自国に臓器が入ることに参与した者を処罰する。
- 2015年初期、カナダ議会の超党派による国際人権小委員会が法輪功からの臓器収奪を譴責する声明を発表しました。「中国で(限定することなく、法輪功学習者とウイグル人を含む)良心の囚人、宗教・民族の少数グループが、臓器の収奪・移植のために処刑されているという信頼性ある申し立てに深く憂慮する」ことを表現したものです。
- 同意のない生体および死体ドナーからの臓器移植の停止のために、小委員会は下記を呼びかけています。
- カナダの医療専門家、科学者、研究者、彼らの所属する専門機関、並びに取締機関が、違法・非倫理的な臓器移植を停止するために努力を続けるよう奨励する。
- 医療及び科学の専門機関、取締機関が、人の臓器の強制収奪と売買行為に関与した個人、機関、系列の名前を公表し、排斥することを要求する。
- カナダ政府は、カナダ国民が、臓器の取得において倫理性・安全性・透明性に欠ける移植ツーリズムに参加することを思いとどまらせ、阻止する方法を考慮することを要求する。
臓器の強制摘出に反対する医師団(DAFOH)
国際的な医療NGOとして、この問題への国際的な関心を集め、2016年ノーベル平和賞候補であるDAFOHは、各国の政策者に、処刑された囚人からの臓器収奪を停止するという中国側の最新の公約をそのまま受け入れないよう警告しています。中国は一党支配の国家であり「機密性、紛らわしい数値、矛盾する声明」という記録は後を絶たず、さらに、山のような証拠と国際社会からの停止の要求にもかかわらず、良心の囚人から違法に臓器収奪していることを認めていない」と指摘しています。
DAFOHによるメディア発表では、処刑者への依存を減らすということは「良心の囚人からの臓器調達への依存が増加している」ことを意味し、「対象となるグループは残虐に迫害を受けている。対象グループの法輪功は主要ターゲットであり、強制的に調達される臓器の需要に応えるための犠牲者となるリスクを高めている」と表明しています。
メディア発表では、以下を含むいくつかの関連問題に焦点を当てています。
- 1984年の法規執行より、中国共産党政権とその機関は、処刑された囚人から臓器を収奪してきた。
- デービッド・マタス氏は、共産党のスポークスパーソンである黄潔夫の臓器収奪に関する声明を分析している。david-kilgour.com/2015/Matas_04162015.pdf.
- 中国の病院は、移植ビジネスの実情を控えめに報告するため、ウェブサイト上での証拠を取り除いている。
- 中国は対等で信頼のおけるパートナーとして、倫理的な価値観に基づく世界の移植コミュニティーに参加する状況にはない。中国政府の主張をまともに考慮するには、監視グループや医療機関は以下を要求すべきである。・良心の囚人を臓器源としてきたことを完全に公開する・臓器源に透明性をもたせる・中国の臓器調達ルートの情報へのアクセスを与える。
強制労働所
自ら望むことなくドナーとなった数多くの良心の囚人、法輪功学習者は、中国全域で350ヶ所と推定される強制労働所に一人の警官の署名だけで送還されています。マタス氏と私は、強制労働所と中国から脱出した法輪功学習者と面接するため、10カ国以上を訪れました。1日16時間まで過酷な環境で働かされ、賃金はなくほとんど食料も与えられず、大勢の人の中で寝て、拷問を受けたことを語ってくれました。多国籍企業の下請けとして、多様な輸出製品の製造をさせられた。ドキュメンタリー『フリーチャイナ』の中でジェニファー・ゼン氏とチャールズ・リー氏は、欧米の消費者のために無数の製品を作らされたことを語っています。企業の甚だしい無責任が起因であり、世界貿易機関(WTO)の規範を侵害するものです。中国との貿易を行うすべての提携企業が効果的に対応することを求めます。各国政府は、製品が事実上の奴隷に製造させたものでないことを証明するために、輸入業者に真の責務を求めるべきです。
結論
イスラエル、台湾、スペインは、自国民の移植ツーリズムへの参加を禁じています。
国際移植学会の倫理委員会の会員を務めていたヤコブ・ラビー医師は、イスラエルの国民が移植ツーリズムに参加することを禁じるイスラエルでの臓器移植法の改定を主導した人物です。今年行われた国際移植学会の大会をボイコットした彼は、ニューヨーク・タイムズのジャーナリスト、ディディ・カーステン・タットロウ氏に次のように語っています。「私はユダヤ人の移植外科医に過ぎません。父はホロコーストの生存者でした。この問題にこれほどまでの時間を費やしたのは、人道に反する新しい犯罪を前に沈黙することができなかったからです」(ニューヨーク・タイムズ2016年8月17日付の記事より)
「2016年の国際移植学会の大会は、もともとバンコクでの開催を予定されていましたが、香港に移されました。私は国際移植学会の幹部を、場所を移動しないように説得しようとしましたが、できませんでした…このため、同僚に香港での大会はボイコットすることを発表し、私に続くように求めました」とラビー医師は別のところで語っています。
シドニー大学医学部のマリア・フィアタロン・シング教授は下記のように強調しています。「…合意する自由のない個人は決してドナーになるべきではありません。人間としての可能性を発揮することを妨げるだけでなく、完全に人間性を奪います。21世紀において、どの社会でも受け入れられるものではありません。…臓器収奪という巨大産業を目前にして圧倒されるように感じるかもしれません。個人が取り組むには不可能な問題であると。しかし、『書物から離れて、自己の心に従い、人々の心の嵐に飛び込みなさい。その嵐の中に血を流している心があるかを見てごらんなさい』と、カール・サンドバーグは語っています。中国の法輪功、チベット、ウイグル、家庭教会の人々の心からは、血が出ています。医師として我々は人を傷つけないことを誓いました。この誓には、他の者から傷つけられている者を守ることも含まれます。人間としてこれにもとることはできません」
中国国内もしくは国外でも、(国内の臓器移植に関する)医療改革が行われたという宣言には耳を傾ける必要はありません。独立した調査により実証されるまでは、中国への移植ツーリズムは禁止されるべきです。コンサルタント・財務上の合意・人材養成・共同研究のための助成金、人体を使っての治験とその結果報告も禁止されるべきです。
非倫理的な臓器収奪に関わってきた中国の病院・外科医との国外での協力も、臓器移植に関わることでなくても行われるべきではありません。すべてが調査され、過去と現在の犯罪が認められ、犯罪者が罰せられるまでは。