2021 米国 強制臓器摘出 停止法

(『2020年 強制臓器摘出 停止法』に基づく全訳)

要点:

1      臓器の違法購入者のパスポートの拒否・取消(第4項)

2      世界各国の強制臓器収奪状況の年間報告の義務づけ(第5項)

3      臓器収奪に従事する機関に付属する臓器移植医を養成する米国機関に関する年間報告の義務づけ(第6項)

4      臓器収奪を行う機関への臓器移植手術のための機器の輸出禁止(第7項)

5      臓器収奪への従事・支援にあたる国外の政府職員・機関の制裁(第8項)

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法案

「強制臓器収奪・臓器摘出その他を目的とするヒトの移動」を撲滅するために

アメリカ合衆国の国会における上院・下院が制定するものとする。

1項:短くした法案名

 『2021年 強制臓器摘出 停止法』と呼ぶ。

2項:政策に関する声明

下記をアメリカ合衆国の政策とする。

  (1)臓器摘出を目的とする国際的なヒトの移動を撲滅する。

  (2)二国間の外交会談および国際的な健康フォーラムで、効果的な機構を備えた自発的臓器提供制度の設置を促す。

  (3)1948年12月10日に採択された世界人権宣言に準じる人命の尊厳と安全の確保を促す。

第3項:定義

 本法の用語は以下の通りに定義される。

(1)「米国国会の該当する委員会」とは、下記の二つである。

  (A)上院の外交関係委員会 (the Committee on Foreign Relations of the Senate)

  (B)下院の外交関係委員会 (the Committee on Foreign Affairs of the House of Representatives)

(2)「強制臓器収奪」とは、強要、拉致、欺瞞、詐欺、権力濫用、弱者利用を通して、1人の人間から1つ以上の臓器を摘出することである。
  

(3)「臓器」とは、国家臓器移植法(42 U.S.C. 274e(c)(1))の301(c)(1) 項に定められた「ヒトの臓器」を意味する。

(4)臓器摘出を目的とするヒトの移動とは、下記の手段を用いて、人間の臓器を1つ以上摘出する目的で、人を勧誘、輸送、移送、収容、受入れることを意味する。

A.強要

B.拉致

C. 欺瞞

D. 詐欺 

E. 権力濫用または弱者利用

F. (A)「強要」の前段階で、該当するヒトの管理統制する者の合意を得るための支払や利得の振り込み

第4項:パスポートの拒否・取消の権限

 改正法 (22 U.S.C. 212)の4076項を以下の通り修正する。

(1) “No passport”の前に “ (a) ” を挿入する。

(2)最後に下記を加える。

(b)(1) 国家臓器移植法(42 U.S.C. 274e)の301項を犯した個人に対して、該当する個人が該当する犯罪においてパスポートを使用したか国境を超えた場合、米国務省はパスポートの発給を拒否できる。

  (2)  米国務省は、(1)で記述されたいかなる個人に対しても、以前に発行されたパスポートを取消すことができる。

5項:国外での強制臓器収奪、および臓器摘出を目的とするヒトの移動に関する報告書

(a)人権擁護に関する年次報告書(Annual Country Reports on Human Rights Practices)への挿入 ― 1961年対外援助法(22 U.S.C. 2151 など)を下記の通り修正する。

  (1) 116項(22 U.S.C. 2151n) の最後に下記を加える。 

  (h) 「強制臓器収奪・臓器摘出を目的とするヒトの移動」に関して−

 (1)一般事項 ―(d)款で義務付けられた報告書は、各国における「強制臓器収奪・臓器摘出を目的とするヒトの移動」の査定を含むものとする。

 (2)定義 ― 本款で用いられる用語を下記の通りに定義する。   

(A)「強制臓器収奪」とは、強要、拉致、欺瞞、詐欺、権力濫用、弱者利用を通して、1人の人間から1つ以上の臓器を摘出することである。   

(B)「臓器」とは、国家臓器移植法(42 U.S.C. 274e(c)(1))の301(c)(1) 項に定められた「ヒトの臓器」を意味する。   

(C)「臓器摘出を目的とするヒトの移動」とは、下記の手段を用いて、人間の臓器を1つ以上摘出する目的で、ヒトを勧誘、輸送、移送、収容、受け入れることを意味する。

(i)強要

(ii)拉致

(iii)欺瞞

(iv)詐欺

(v)権力濫用または弱者利用

(vi)「強要」の前段階で、該当するヒトの管理統制する者の合意を得るための、支払や利得の振り込み。

 (2) 502B項(22 U.S.C. 2304)において−

 (A)2つめの(i)款(子供の婚姻状況に関して)を(j)款とする。       

(B)最後に下記を加える。   

       (k) 「強制臓器収奪・臓器摘出を目的とするヒトの移動」に関して−

“(1)一般事項 ―(b)款で義務付けられた報告書には、各国における「強制臓器収奪・臓器摘出を目的とするヒトの移動」の査定を含むものとする。

“(2)定義 ― 本款の「強制臓器収奪」「臓器」「臓器摘出を目的とするヒトの移動」定義は、116(h)(2) 項に記述されたものとする。

(b)追加報告書について—

 (1) 一般事項 ―(a)款で修正された通り、1961年対外援助法(22 U.S.C. 2151n, 2304)の116項および502B項で義務付けられた年次報告書の提出日より30日以内に提出する。民主主義・人権・労働担当国務次官補(本款では以下「国務次官補」と言及)は、下記の情報を含む報告書を米国議会の適切な委員会に提出する。

   (A)各国に関しては、その国で、「強制臓器収奪・臓器摘出を目的とするヒトの移動」に責任を負う機関、援助者、役人の認定。

   (B)下記に記述される格付け。

 (2) 格付け

   (A)ティア1と指定される国 ― 「強制臓器収奪・臓器摘出を目的とするヒトの移動」の頻度が低レベルで、当該政府がこの問題を撲滅するためにかなりの努力を払っている国を国務次官補はティア1と指定する。

   (B)ティア2と指定される国 ― 国務次官補は下記に該当する国をティア2と指定する。

     (i)「強制臓器収奪・臓器摘出を目的とするヒトの移動」の頻度が低・中レベルで、当該政府がこの問題を撲滅するための努力を払っていない国。

     (ii)「強制臓器収奪・臓器摘出を目的とするヒトの移動」の頻度が中レベルで、当該政府がこの問題を撲滅するためのかなりの努力を払っている。

   (C)ティア3と指定される国 ―国務次官補は下記に該当する国をティア3と指定する。

     (i)「強制臓器収奪・臓器摘出を目的とするヒトの移動」の頻度が高レベルである国。

     (ii)当該政府が、直接あるいは間接的に、「強制臓器収奪・臓器摘出を目的とするヒトの移動」を支援している国。

 (3) 形態 ―本項で義務付けされた報告書の提出は、機密扱いされることはない。

(c)中間報告書 ― 本款(a)で修正された、1961年対外援助法(22 U.S.C. 2151n, 2304)の116項と502B項で義務付けられた年次報告書に加え、国務次官補は国会の適切な委員会に対して、「強制臓器収奪・臓器摘出を目的とするヒトの移動」の状況に関して、中間報告書を随時一本以上提出する。当該報告書では、当該項目に基づく最新の年次報告書の提出日以降、撲滅に対してかなりの努力を始めた政府、もしくはかなりの努力を停止した政府に関する国家情報を含むものとする。

(d)「かなりの努力」の決定要因 ―1国の政府が、「強制臓器収奪・臓器摘出を目的とするヒトの移動」の撲滅に対して、かなりの努力を払っているかを、本款(b)(c)の下で決定する際、米国務長官は下記の点を考慮する。

   (1)当該国が、「強制臓器収奪・臓器摘出を目的とするヒトの移動」において、発生、移動、受入にどの程度関わるか。

     (2)当該政府が、「強制臓器収奪・臓器摘出を目的とするヒトの移動」の撲滅に対してどの程度努力を払っているか。特に、当該政府の特定の高官もしくは職員が、どの程度、参与もしくは助長もしくは容認もしくは加担しているか。

   (3)当該政府の資源・能力を考慮して、当該政府が、「強制臓器収奪・臓器摘出を目的とするヒトの移動」の撲滅に対して適切な措置をとっているか。

第6項: ティア3の指定国からの臓器移植医を養成した米国の医療・教育機関に関する報告書

(a) 一般事項 ― 5a項で修正された通り、1961年対外援助法(22 U.S.C. 2151n, 2304)の116項および502B項で義務付けられた年次報告書の提出日より180日以内に提出する。国務長官は、保健福祉長官と協議の上、アメリカ合衆国の医療・教育機関、その他の機関に関する報告書を議会に提出する。

(b) 報告書に含まれるべき項目

    (1)一般事項 ― (a)款で義務付けられた各報告書は、報告書が提出された日付の時点で、下記(2)で記述されている移植医を1人以上養成するアメリカ合衆国の医療・教育機関、その他の機関の名称を含める。

    (2) 臓器移植医の記述 ― この段落で記述されている臓器移植医は下記の者とする。

    (A)  (a)款で義務付けられた報告書の提出日の時点で、5(b)項で義務づけられた最新の追加報告で認定された、「強制臓器収奪・臓器摘出を目的とするヒトの移動」に責任を負う機関もしくは援助者に雇用されるか附属する臓器移植医。       

    (B) 5(b)項で義務づけられた最新の追加報告でティア3と指定された国の市民もしくは国籍を保有する臓器移植医。

第7項: 特定の機関に対する臓器移植機器の輸出禁止

連邦食品・医薬品・化粧品法(21 U.S.C.381)の801項に下記を追加し、以下の通りに修正する。

(v)特定の機関に対する臓器移植機器の輸出禁止 ―

  (1) 一般事項 ― 同法の他のいかなる規定にかかわらず、「2020年 強制臓器収奪 停止法」の5(b)項で義務づけられた最新の追加報告で、「強制臓器収奪・臓器摘出を目的とするヒトの移動」に責任を負うと認定された機関に対して、臓器移植手術での使用を目的とする機器を輸出することを禁じる。

  (2) 商務長官との調整 ― 上記が準じられるよう、国務長官は商務長官と調整をはかる。

第8項: ティア3と指定された国が助長した「強制臓器収奪・臓器摘出を目的とするヒトの移動」に対する制裁

(a)リストの提出 ―5a項で修正された通り、1961年対外援助法(22 U.S.C. 2151n, 2304)の116項および502B項で義務付けられた年次報告書の提出日より180日以内に提出する。米大統領が下記を判断した個人のリストを米大統領は議会に提出する。

  (1)強制臓器収奪、および臓器摘出を目的とするヒトの移動を助長するための資金、支援、スポンサーその他で、下記(2)AもしくはBにあたるもの。

  (2)

   (A)5(b)項で義務付けられた追加報告書でティア3と指定された国の市民もしくは国籍を保有する個人。

   (B)該当国の法律のもとで組織化された機関、もしくは該当国の政府の法律に従う機関。

(b)制裁の発動 ― 米大統領は(a)款で義務付けられたリストにある個人に関して、以下の制裁を発動する。

   (1)財産の封鎖 ―  米国大統領は、国際緊急経済権限法(50 U.S.C. 1701など) (但し本法 (50 U.S.C. 1701) 202項の条件は適応しない) で付与された全ての権限を行使して、該当する本人の全ての財産および利権がアメリカ合衆国にある場合、あるいはアメリカ合衆国内に入る場合、あるいはアメリカ合衆国の個人が保有もしくは管理しているか・これから保有もしくは管理することになる場合、該当する全ての財産および利権を封鎖・禁止する。

   (2)外国人のビザ、入国許可、仮釈放の否認

    (A)ビザ、入国許可、仮釈放 ― 個人の場合、個人に下記が適用される。

      (i)米国への入国は許可されない。

      (ii)米国に入国するためのビザまたはその他の書類は受け取れない。

      (iii)移民国籍法(8U.S.C.1101など)に基づき、米国への入国または仮釈放またはその他の利得を受け取ることは認められない。

    (B) 現在のビザの取消し

     (i)一般事項 ― 該当する個人のビザその他の入国書類は、いつ発行された    かにかかわらず、取消される。

     (ii)即時適用 ―(i)の取消は

        (I)即時に適用される。

        (II)該当する個人が保有するその他の有効なビザまたは入国書類は自動的に取消される。

    (c)例外 ―

  (1) 製品の輸入に関する例外

   (A)一般事項 ― (b)(1)款に基づく制裁を発動するための権限と条件には、製品の輸入に関する制裁のための権限と条件は含まれない。

   (B)物品の定義 ― 本段落の「物品」とは、いかなる成形品、天然または人口の物質、素材、供給品もしくは(検査・試験装置を含む)製造品を意味し、技術データは除かれる。

  (2) 国際的な義務に準ずるための例外 ― 該当する個人の入国が、1947年6月26日にサクセス湖で調印され1947年11月21日に施行された国連本部に関する国連とアメリカ合衆国との間の協定、および1963年4月24日にウィーンで締結され1967年3月19日に施行された領事関係条約、その他の国際協定に準ずるために、個人の入国を必要とする場合は、(b)(2)款は適用しない。

(d)実施;処罰

  (1)実施 ― 本項を実行するために、米大統領は国際緊急経済権限法(50 U.S.C 1702および1704)の203項および205項で規定された全ての権限を行使する。

  (2)処罰 ― 本項もしくは本項を実行するために発行された規制、許可、命令に違反した者、違反しようとした者、違反を共謀した者、または違反を引き起こした者は、本項(a)款に記述されている違法行為を犯したものとして、国際緊急経済権限法(50 U.S.C 1705)の206項の(b)(c)款で定められた罰則の対象となる。

 (e)アメリカ合衆国の個人の定義 ― 本項では、「アメリカ合衆国の個人」とは下記を意味する。

  (1)アメリカ合衆国の市民もしくは合法的にアメリカ合衆国への永住権を認められた外国人。  

  (2) アメリカ合衆国の法律もしくはアメリカ合衆国の司法権に基づいて組織された事業体。そのような事業体の海外支部も含まれる。