『中国 民衆法廷 最終裁定』ETAC制作 映像 (9分)
2019年6月17日ロンドン時間の午前10時ぴったりに判事団が入場。200名ほどの傍聴者は全員起立を促された。全員着席後、1時間半にわたりジェフリー卿が裁定の要約を読み上げた。
「民衆法廷・裁定」(China Tribunal – Judgement)(英文 160ページ、付記300ページ)は2020年3月1日に発表され、同年9月30日に書籍版が発行された。
下記は、2019年6月にChinaTribunalのウェブサイトで発表された「裁定の要旨」(Short Form Conclusion)(英文4ページ)の2020年3月1日邦訳版。
裁 定 の 要 旨
中国での良心の囚人からの臓器収奪に関する民衆法廷
2018年12月、本法廷は下記の中間裁定を発表した。
本法廷の判事団は全員一致をもって、合理的な疑いを超えて、中国でかなりの期間、極めて多くの犠牲者に対して、良心の囚人からの臓器収奪が行われてきたことを確信する。
発表以来、本法廷は、中国で臓器収奪が行われてきたことを証明する一助となる多くの資料に関わり、守秘、沈黙、ごまかしがあまねく存在する中華人民共和国(PRC)の文化に取り組んできた。入手できる証拠から適切な結論を出す上で、本法廷は制止されることも機能不全にされることもなかった。
本法廷が適切な結論を出す上で、中国がひどく人権を侵害しているという評判は、全く考慮されなかった。本法廷は、各段階でPRCからの貢献を要請し、PRCの利権に対して公平な態度を守るプロセスを採用した。
本法廷は多くの形態の証拠を考慮し、証拠だけに基づいて一つひとつの問題を扱った。PRCの評判やその他、偏見を引き起こしかねない要因に影響されることなく、下記の一連の結論に達した。
- 移植に使える臓器を入手するまでの待ち時間が異常に短い(PRCの医師や病院が約束)
- 法輪功学習者とウイグル人が拷問を受けている
- 以下に示す数値で表された証拠(みせかけのPRCによるデータを除く)が集まっている
- 臓器移植件数
- PRCが最近設置した自主的ドナー(臓器提供者)制度下での「適格なドナー」だけでは全く供給を満たすことはない
- 臓器移植手術のために多大なインフラ設備が開発され、医療スタッフが養成された。自主的ドナー制度の計画が始まる前にこれらの開発・養成が始まっている場合もよく見受けられた
- 強制的に臓器の収奪が行われた直接的及び間接的な証拠があった
上述の個々の結論を統合し、当然のなりゆきとして下記の最終結論が導き出される。
臓器収奪は、中国全域で、何年にもわたり、かなりの規模、行われてきており、法輪功学習者がおそらく主な臓器源である。ウイグル人を対象とした集中迫害と医療検査は比較的歴史が浅く、このグループからの臓器収奪の証拠はいずれ出てくると思われる。本法廷は、中国の移植産業に関連するかなりのインフラが数多く解体された証拠を一切見つけておらず、すぐに入手できる臓器の源に関する納得のいく説明も得られていないため、臓器収奪は今日も続けられていると結論する。
本法廷は上述の結論にジェノサイド(集団殺害)の罪を含むべきかを協議した。
PRCにおける法輪功学習者とウイグル人はそれぞれ、ジェノサイドの対象となる「グループ」としての条件を備える。
法輪功学習者に関しては、ジェノサイド罪とみなされる下記の要素が明確に存在する。
- グループのメンバーを殺害する
- グループのメンバーに深刻な肉体・精神的な危害を与える
ジェノサイド罪のもう一つの要素以外では、法的助言に基づき、本法廷が納得するものとして、本件はジェノサイドであることが明確に証明される。
このもう一つの要素に関しては、ジェノサイド罪における特定の「意図」を実証する必要がある。
本法廷は「意図」の実証に関して法的助言を受け、実証の条件を満たす意図が証明されたかを本法廷は確定できない。ゆえに、ジェノサイド罪そのものの実証は確定できない。
特定の意図の実証により必ずしも、「ジェノサイド罪」のほうが(同じ事実が実証する個々の)「人道に対する罪」よりも真の邪悪さにおいて悪辣だ、とするものではないことを本法廷は指摘したい。
強制臓器収奪は、前世紀の大量殺害と死者数を比較したとしても、比類なき邪悪であることを、本法廷は留意している。一部の者もしくは多くの者のなかに、ジェノサイドが行われたとする正当な信念があり、その確信は高まっている。
上述に沿い、さらに挙げられた証拠と法律を考慮し、調査を起こし手続きを取る権威のある者は、国際法廷もしくは国連でジェノサイドが行われたかを分析する義務がある。これらの者は、ジェノサイド条約の条例に反する行為への責任所在を追及するために即座に行動すべきある。
法輪功およびウイグルに対する「人道に対する罪」は、法輪功とウイグルに対する広域にわたる系統的な攻撃または度重なる攻撃において、法的立証に必要な以下の要素のうちの一つ以上の実証を以て、合理的な疑いを超えて立証された。
- 殺害[1]
- 絶滅させる行為[2]
- 国際法の基本的規則に違反する拘禁その他の身体的な自由の著しいはく奪[3]
- 拷問[4]
- 強姦その他あらゆる形態の性的暴行であってこれと同等の重大性を有するもの[5]
- 人種的、国民的、民族的、文化的または宗教的な理由その他国際法の下で許容されないことが普遍的に認められている理由に基づく迫害[6]
- 強制失踪[7]
ウイグルに関しては、本法廷は大規模な医療検査の証拠を得た。他の用途もあるが、ウイグル人が「臓器提供バンク」となりうる検査である。世界は既にウイグルの利権と地理的な立地に注視している。地域は広いが、中国全域に散在する法輪功と比べて容易に支援できる可能性が考えられる。
各国の政府機関および国際機関は「ジェノサイド」に関する可能な告発だけでなく、「人道に対する罪」に関しても取り組む義務がある。本法廷は「人道に対する罪」が「ジェノサイド(集団殺害)」ほど悪くはないとしていない。各国政府、国際機関が自らの義務を果たさない場合、通常は力のない市民ではあるが、このインターネットの時代であれば、自分たちが認識している以上に力を発揮することになる。この規模の犯罪は、世界中の人々が力を合わせて、政府に圧力をかけることを可能にする。それによって、各国政府や国際機関が取り組まないという選択肢はなくなる。
各国政府およびPRCとかなりの形で関わってきた下記の分野に携わる者は、上に記された犯罪の規模に関して、自分たちが犯罪国家と関わっていることを認識すべきである。
- 医師、医療機関
- 産業、ビジネス―特に航空会社、旅行会社、金融機関、法律事務所、製薬会社、保険会社、個々のツーリスト
- 教育機関
- 芸術機関
2019年6月17日
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[1] Rome Statute of the International Criminal Court 1999, Article 7(1)(a).
[2] Rome Statute of the International Criminal Court 1999, Article 7(1)(b) and Article 7(2)(b).
[3] Rome Statute of the International Criminal Court 1999, Article 7(1)(e).
[4] Rome Statute of the International Criminal Court 1999, Article 7(1)(f) and Article 7(2)(e).
[5] Rome Statute of the International Criminal Court 1999, Article 7(1)(g).
[6] Rome Statute of the International Criminal Court 1999, Article 7(1)(h) and Article 7(2)(g).
[7] Rome Statute of the International Criminal Court 1999, Article 7(1)(i) and Article 7(2)(j).