2022年3月30日、英下院は、保健医療法(Health and Care Bill)の新修正案を可決。中国その他の世界各国への渡航移植が禁止される。
今回の修正案は、英国民及び英国籍を持つ者が臓器を購入するために海外に渡航することを違法とするもので、今年4月28日に制定。修正案では臓器の商業化に焦点を向けたことが特徴。金銭的な利益が生じない臓器を移植されることは違法ではない。しかし、中国その他の国で、臓器を販売することは犯罪行為となる。
今回可決した修正案は、英国上院議員の元保健相フィリップ・ハント卿(Lord Hunt of Kings Heath)が草案した「臓器ツーリズム」修正案(英語原文)を受けて起草されたもの。「臓器ツーリズム」修正案は英上院で3月16日に、賛成203票、反対159票の安定多数で通過している。
ハント卿は英上院での票決の際、次のように訴えた。「中国における臓器収奪では、”良心の囚人”が臓器を収奪され、その過程で殺害されるという犯罪です。摘出された臓器は、移植用に中国の役人や中国人、外国人向けに売買されます。この不快な慣習を制止するため、我々ができるささやかな修正案です」
今回の下院による修正案では、英国の現行法を拡充した。現在、違法とされる英国内の臓器の商業的取引を、域外にも拡張した。
英エドワード・アーガー保健相は、この措置は「英政府がNHS BT(英国国民健康保険内の輸血・移植部門)と協力して、臓器購入の法的、健康的、倫理的影響をより多くの患者に知ってもらう」とともに、「海外における臓器売買に関連する不正行為への加担は許されないという明確なシグナルを送ることになる」と述べた。
最終の修正案(英語原文)はこちらへ。