(写真:「中国(臓器収奪)民衆法廷」「ウイグル法廷」で
証言したウイグル人のオムル・べカリさん)
中国北西部の新疆ウイグル自治区は、1949年より中国共産党が統治してきましたが、2014年5月、暴力テロ活動を厳しく撲滅するための「厳打」運動が発動されます。2016年8月にはチベット弾圧を主導した陳全国が新疆ウイグル自治区党委員会書記に着任し、ウイグルのイスラム教徒のアイデンティティーを消滅するための弾圧が飛躍的に強化されました。
臓器収奪に関しては、2000年以降の法輪功学習者の逮捕者数は莫大な数に上りましたが、20年以上の迫害を経て、法輪功を公に修める者はいなくなり、殺害された学習者に代わる若い学習者が国内で公に育ってはいません。「法輪功学習者の臓器だけでは成長する移植産業の需要を十分に満たすことができなくなり、供給不足を埋めるためにウイグル人に目が向けられるようになった」とデービッド・マタス人権弁護士は見解しています(2021年9月にメールで確認)。
2017年に新疆全体の「年度体検」(健康診断)を通してDNAを含む1880万人のバイオデータが構築されました1。この健康診断は、新疆ウイグル自治区のウイグル人、カザフ人、その他のイスラム教徒の全人口に対するもので、漢民族に対しては行われていません。
収集されたDNAから、臓器の長期的な適合性を手術前に予見できる可能性があることを、「中国(臓器収奪)民衆法廷」「ウイグル法廷」で証言した米国マサチューセッツ工科大学(MIT)のマヤ・ミタリポヴァ博士2は指摘しています。
また、ロンドン・ユニバーシティー・カレッジ遺伝子研究所のデービッド・カーティス教授は、「強制臓器摘出の阻止・撲滅に関する国際サミット」で、以下を指摘しています3。
1)中国では臓器収奪が行われている
2)中国では任意に人が拘束される
3)中国では少数民族などを対象にDNA検査を行った。DNAの1つの用途として臓器移植の適合性の確認が挙げられる。
以上の3点から、ドナーは囚人ではなく日常生活を送っている者がDNA情報を基盤にドナーとして捕えられている可能性は否定できない。
さらに、新疆のアクスでは、感染症用の病院が収容所となり、1キロ平方の土地に病院、収容所、火葬場が集約していることが指摘されています4。
以上から、新疆ウイグル自治区のイスラム教徒を対象とした臓器収奪が導かれます。 なぜ、イスラム教徒が対象となるのかという疑問に対しては、イスラム教ではアルコールと豚肉を食さないため、富裕なアラブ人は同じイスラム教徒で豚肉を食べず飲酒もしないウイグル人の臓器(ハラール臓器)を好むという指摘があります5。
- Sterilizations, IUDs, and Coercive Birth Prevention: The CCP’s Campaign to Suppress Uyghur Birth Rates in Xinjian(不妊手術、IUD、強制的な出生予防:中共による新疆ウイグル人の出生率抑制運動)by Adrian Zenz, The Jamestown Foundation 2020年7月15日
- 中国・民衆法廷 提出文書の邦訳
- 「強制臓器摘出の阻止・撲滅に関する国際サミット」6日目の映像リンク 1時間6分より
- The Killing of Innocents for Their Organs-Forced Organ Harvesting from Uyghurs and Other Ethnic Minorities in Xinjian/East Turkestan (臓器のための無実の人々の殺害―新疆/東トルキスタンのウイグルその他の少数民族からの臓器収奪)イーサン・ガットマン、2021年8月
- Newsポストセブン 2019年9月15日 ページ2