2018〜19年にかけて英国ロンドンで行われた民衆法廷ChinaTribunal.comの邦訳です。
中国・民衆法廷 – 裁定(2019年発表)について
(関連項目、公聴会の実録サイトへは、右のリストをクリックしてください)
中国・民衆法廷は、世界で初めて、中国での良心の囚人からの強制臓器摘出に関する独立した法的分析を行いました。旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷(the International Criminal Tribunal for the Former Yugoslavia)で元セルビア大統領スロボダン・ミロシェヴィッチの起訴を率いたジェフリー・ナイス卿を議長とする「中国 民衆法廷」の判事団は、臓器収奪に従事した可能性のある中国の国家あるいは国家支援機関あるいは個人が、国際犯罪を犯してきたかどうかを裁定するために、入手できる全ての証拠を査定しました。
ジェフリー・ナイス卿の率いる判事団には、米国、英国、マレーシア、イランからの6名が加わり、国際人権法、移植医療、国際関係、中国史、ビジネスという各々の専門が活かされました。
2019年6月に最終裁定が下るまでの機関に入手した全ての証拠を編纂し、「中国・民衆法廷」の裁定の背後の論拠をまとめました。裁定の本文は160ページですが、判事団が12ヶ月にわたり検討した全ての書類、報告書、証言、提出物がかなりの量の付記として添えられています。2018年12月と2019年4月に開かれた公聴会では、50名以上の事実証言者、専門家、調査者が証言しました。中国・民衆法廷は、エドワード・フィッツジェラルド法廷弁護士(刑事法、公共法、国際人権法専門;英国拠点)とダトゥック・シヴァナンサン(刑事法;マレーシア拠点)から法律上の専門的な意見を受けました。
本法廷の判事団は全員一致をもって、合理的な疑いを超えて、中国でかなりの期間、極めて多くの犠牲者に対して、良心の囚人から臓器収奪が行われてきたことを確信すると裁定を下しました。中華人民共和国では移植のための臓器源に関して、囚人の臓器の使用を停止した、と発表しましたが、判事団はこの主張は信用できるものではなく、公式発表の統計値も捏造されたものであると判定しました。
下記は、裁定文からの引用です。
「臓器収奪は、中国全域で、何年にもわたり、かなりの規模、行われてきており、法輪功学習者がおそらく主な臓器源である」
「ウイグルに関しては、本法廷は大規模な医療検査の証拠を得た。他の用途もあるが、ウイグル人が「臓器提供バンク」となりうる検査である」
「法輪功およびウイグルに対する「人道に対する犯罪」は、合理的な疑いを超えて立証された」
「各国政府および中華人民共和国とかなりの形で関わってきた下記の分野に携わる者は、上に記された犯罪の規模に関して、自分たちが犯罪国家と関わっていることを認識すべきである」
写真:公聴会1日目、セッション1の最後の証言者(左)。正面7名がパネリスト。右側の法律顧問が事前に提出された証言者の文書に基づき、質問を展開。その後、パネリストが個別に質問する方式が取られた。
ETACと「中国・民衆法廷」の関係について
「中国・民衆法廷」は、私ども「中国での臓器移植濫用停止 ETAC国際ネットワーク」がジェフリー・ナイス卿に委託したものです。少なくとも2006年以降より、中国では良心の囚人が組織的に殺害されてきているという多数の報告書や証言が出てきているにもかかわらず、疑問視する声も絶えませんでした。中国では実際に無実の人々が臓器のために殺害されているのかという議論を一歩前に押し進めるために、ETACは、証拠に対する法的な意見をジェフリー・ナイス卿に求め、「中国・民衆法廷」の開廷に至りました。ETACが委託した法廷でしたが、ETACと法廷(判事団)との接触は厳格に禁じられ、法廷顧問のハミッド・サビ氏を通して全ての証拠が法廷に提出されました。判事団が聴取・査定した証拠の審議など判事団の作業について、どの段階においても、ETACが関与することは一切ありませんでした。(https://endtransplantabuse.org/2020-china-tribunal-judgment/ より)
公式サイトChinaTribunal.com の情報をできる限り日本語で提供する目的で、ETAC Japanのサイトに「民衆法廷」のセクションを設けています。証言の実録映像をご自身で確認され、ご自身の結論を出す上でお役立ていただければ幸いです。