2017年12月13日 英国議会
臓器収奪に関するラウンドテーブルでの
イーサン・ガットマンの所見
1980年代初め、冷戦の緊張感が張り詰める中、私が大学院で核兵器について研究していた時、故ワーナー・シリング指導教授がこう言いました。「実際に目にすることがあっても、ソ連は我々の望む形では認識されないだろう。この事実に私は屈する」
私はこの言葉を忘れられません。猜疑心に満ちた者に囲まれながらも、私はゴルバチョフが真の改革者であるという見解を早くから抱きました。マーガレット・サッチャーとロナルド・レーガンにも同様の見解を抱きました。現在進行中の改革を認識するという、知的な挑戦は、今日も重要です。そして「信じよ。しかし確証をとれ」というレーガンの言葉も重要です。
2015年1月1日、中国の移植改革のスポークスマン黄潔夫は「囚人からの臓器収奪は終結した」と発表しました。しかし2016年6月、キルガー氏、マタス氏と私が共同で発表した報告書〈更新版〉では、中国での移植手術件数は、党が主張する1万人ではなく少なくとも6万人だということが証明されています。その大規模な臓器の調達源は法輪功学習者、ウイグル人、チベット人、中国家庭教会の一部の信者であることが示唆され、警鐘を鳴らしました。メディア報道で取り上げられ、英国下院議会と欧州議会の両方で決議案が通過し、英国保守党の人権報告書では中国に焦点をあてた「The Darkest Moment(暗黒の瞬間)」を発表するなど、ことの緊急性を反映する動きが次々と出ました。
これを受けて中国共産党は、再び問題の焦点をずらし、前年、中国の移植システムを改革したと新たに主張しています。一例を挙げましょう。中国の医療機関は、機密データベースを参照し、中国での免疫抑制薬の消費量から移植件数は年間1万件と裏付けられるとしています。これはワシントン・ポスト紙の記者の申し立てと酷似しています。しかしそのデータベースに機密性はありません。このデータベースは、数年前に日本の移植件数(年間約2000件)が中国を上回ったとするものです。
これは馬鹿げた主張です。もっと深刻な主張を考察させてください。
まず、移植学会の元会長ジェレミー・チャップマン医師は「中国には大きな変化があり、正しい方向に進んでいる」と言及しています。
チャップマン医師は間違えるかもしれませんが嘘はつきません。私にも他の人にも、そして特に中国人に、率直で正直であることに誇りを抱く人物です。もしチャップマン医師が変化を認めるようならば、我々も深刻に受け止めるべきです。
そして二つ目に、中国では自主的ドナーはリンクとアプリを使い登録することができるという黄潔夫の言葉です。23万人以上が登録済みだと主張しました。
黄潔夫は嘘をつきます。黄は2014年末から2015年初頭にかけて、中国のメディアでは囚人は「自発的に」臓器を寄付することができると語り、国際メディアではその真逆を語りました。黄には、守るべき既得権益と履歴があります。自分の管理下で5000件の肝移植と囚人の実験的手術を行ったのです。しかし、私は常識的判断から、黄の発言も真剣に受け止めます。2016年に中国は我々の提示する疑惑を論破できませんでした。中国の医療機関は移植制度を早急に改革すべきだというのが、彼らを支配する論理でしょう。
しかし我々には二つのかみ合わない証拠があります。
一つ目は、昨年の中国全土の病院への電話調査に基づく法輪功への迫害を追跡調査する国際組織(WOIPFG)による最近の報告書で、二つのパターンが読み取れます。1) 地方レベルで臓器移植件数が減少した兆しはない。2) 中国の病院の管理職員は臓器源に関しては一切話さない(話すとしても厳しく命令されていることを説明するだけ)。明らかに、自発的臓器提供で溢れるシステムの姿ではありません。
第二の証拠は人権擁護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチのものです。(数年前、最初に法輪功学習者に対し行われた)包括的な血液・DNA検査が行われたことが昨年明らかになりました。新疆の全てのウイグル人、女性、子供を対象とするものです。この検査は90パーセント達成しています。DNAサンプルや血液検査には監視を含む様々な用途があります。しかし(移植手術用の)組織適合にも用いることが可能です。1500万人のウイグル人が危険にさらされています。
我々、そして国際移植学会、世界保健機関(WHO)、バチカンは、確証の手続きが許されていない中国の改革を信じることができるでしょうか? できません。英国議会は英国のプロジェクト(たとえば、大連で臓器収奪センターを含む医療都市を建設しようとするTFPライダーヘルスケアのプロジェクト)を、少なくとも凍結する必要があります。
まとめとして、臓器収奪の現状に関してのみ指摘させてください。中国共産党が望む過去を抹殺する戦略を注視しています。中国が確証の手続きを制限していることに対しても妄想を抱いてはなりません。
英国議会には、中国共産党の大量殺人を黙認する権限はありません。国際移植学会や世界保健機関、バチカンにもありません。この問題に対する権限があるのは中国にいる犠牲者の家族だけです。彼らの発言が許されるまで、英国議会は人道に反する犯罪に加担することを避けなければなりません。