2016年12月4日(大阪大学)
第28回 日本生命倫理学会 年次大会
シンポジウム「臓器移植と正義」
エンヴァー・トフティ氏の発表内容
要約:
現代の中国大陸に「倫理」という言葉はあるのか?
中国の医学論文を分析したビデオ「動かぬ証拠」(参照:Harvesting Alive)に中国での臓器収奪の事実が指摘されている。私自身、1995年にウイグルで生きている囚人から臓器を摘出したが、欧米の文化圏で生活するまでは罪の意識はなかった。 歪曲した精神構造で 人間の尊厳を完全に否定する現代の中国大陸では、残虐行為が行なわれている。世界のコミュニティーが中国への移植ツーリズムへの資金源を断ち切り、合法的なドナー合意書の要求を提案する。
パワーポイントの内容
Slide 1 (「動かぬ証拠」のビデオより)vimeo.com/178642565
手術室に運ばれるドナーは 息をしている
- 全身麻酔が行われる
- 気管内挿管が適用される
(遺体であったら不要な作業)
ドナーが生きているという証拠
Slide 2
- 待ち時間は4時間の場合もある。平均は1−2週間
- 1999年以前は、中国で肝移植のできる病院は19軒にすぎなかった。1999年〜2006年4月までには500軒に増加
- 2000年が分岐点。臓器移植件数は10倍。2005年は3倍増
- 臓器移植の目的で莫大な人数が拘束され、ドナーの巨大なプールが存在する
Slide 3
(新疆の病院での自家肝移植手術において、予備の肝臓を2つ確保するために
二人の人間が犠牲になった。手術は成功し予備の肝臓は不要であった)
Slide 4
- 中国全体では、人々は生まれたときから洗脳され、民主主義、自由、人権を体験する機会が与えられていない。中国共産党政権のもとでは、社会における最低限の倫理基準を忘れてしまった
- 共産党政権下では、人々は権威への梯子を登ることに熱心。権威を登りつめたものは、出身地に対して何もせず、悪魔化してしまう。
- 共産党政権下では、党員以外の個人は国家の敵とみなされ、あらゆる罰を課せられる可能性がある。医師は権威側にいるので、国家の敵を消去する義務があると考えている。この精神構造のため、中国ではこのような悲劇が起こっている。私自身、欧米の文化圏で生活するまでは、罪の意識はなかった。歪曲した精神構造から私は出てきたことが分かった。
- 人間の尊厳を否定する社会であるから、これほどまでの残虐行為が行えることも納得できる
- このため、中国語に「倫理」という言葉が存在するのか、疑わしく思っている
Slide 5
新報告書の結論
- 中国における臓器移植の件数は、中国政府の公式な数字をはるかに上回る。
- 産業化されている成長ビジネス。
- 膨大な量の臓器の供給源は、無実の人たちを殺害して成り立っている。すなわち、ウイグル人、チベット人、中国家庭教会の信徒たち、そして主に法輪功の学習者。
- 中国における臓器収奪は、共産党、国家機関、医療システム、病院、移植専門医すべてが共謀する犯罪。
Slide 6
問題解決のための私からの提案
- 世界のコミュニティーが中国への移植ツーリズムを禁止し、資金源を断ち切る
- 処刑された囚人が証人の前で署名したドナー合意書を示すように中国政権に要求する
***
同シンポジウムとトフティ氏の重い証言については、『中国の臓器狩りに絡む「日本」』(高橋幸春)と題して『医療経済』2017年1月15日号で紹介されています。