中華人民共和国が国家を上げて取り組み、急速な成長を見せてきた臓器移植産業の背後に存在する臓器入手のための行為です。
臓器狩りの定義
中国の臓器狩りについてお話しする前に、まず、「臓器売買」の定義から入りましょう。
- 生体もしくは死体から違法に臓器を摘出する
- 十分な情報に基づいた自発的な意志による同意を、提供者から得ていない
- 金銭もしくはその他の利益が関わる
「臓器狩り」は上記の違法な臓器売買の範疇内にありますが、さらに的が絞られ、他者に移植するために合意なく臓器を摘出することを通して人を殺害する行為です。
また、中国での生体臓器摘出では、肝臓の一部や腎臓の一つなどを提供する通常の生体臓器提供とは異なり、生存維持に欠かせない心臓や肺などを摘出しています。生存中の身体からの中国での強制臓器収奪(つまり生体臓器収奪)を4つの方法に分類した証言もあります。
参考:https://shukousha.com/column/tsuruta/8927/
対象となる人々は?
主に囚人が挙げられます。しかし、世界保健機関(WHO)、国際移植学会(TTS)、世界医師会(WMA)、国連、欧州議会などの国際機関による倫理または医師を対象にした指針で、囚人からの臓器摘出は禁じられています。
中国での移植臓器源として対象となる囚人は、以下の2種類に分かれます。
- 有罪判決を受けた犯罪者
犯罪が申し立てられており、何らか形式の裁判がある - 良心の囚人/政治犯
犯罪者ではない。裁判なしで拘束
この裁判なしで拘束されている良心の囚人(無実の人々)の存在を、中国政府は認めていません。(BBC報道)
臓器の適合性と待ち時間
臓器移植を行うには、まず、臓器提供者の感染病、適合性を確認するために血液検査が行われ、さらに臓器提供者(ドナー)の臓器が、移植を受ける人(レシピエント)と適合するか検査されます。また、臓器の状態を検査するために超音波やレントゲンなどの医療機器が用いられます。
レシピエントは、自分と適合する臓器が現れるまで順番待ちをしています。
- 日本では腎臓の待ち時間は14年9ヶ月、心臓・心肺同時移植の待ち時間は3年1ヶ月です。(日本臓器移植ネットワーク)
公益社団法人 日本臓器移植ネットワーク「 移植希望者の待機年数」 - 中国では数週間、数ヶ月で移植が可能です。
中国での強制臓器収奪の流れ

中国での強制臓器収奪に関する最も初期の記録は、1978年、反革命的な思想のために死刑になった鐘海源(Zhong Haiyuan)さんの死刑執行人の証言です。「腎臓を摘出するから即死させるな」という命令があったことを『中国的眸子』執筆のために調査中の胡平氏に打ち明けています。その後、ウイグル人を対象とした小規模な臓器狩りの証言が記録されていますが、1999年7月に法輪功迫害が始まり、移植件数が急速に増加します。
中共政権は当初、囚人の臓器は利用していないと主張していましたが、2005年に囚人の臓器を利用していることを公に認めました。当時の中国にはドナー制度がなく、死刑囚の数も(国際的な圧力から)減少傾向となっていましたが、移植産業は急成長を続けていました。この矛盾に答えるかのように、中国の臓器移植に関する欧米に向けたスポークスパーソン黄潔夫医師は、ドナー制度の試験的な導入が開始されたと2010年に発表。2015年にはドナー制度が全国規模となり死刑囚の臓器は一切使っていないと主張しています。
臓器狩りに関する良くある質問
臓器狩りとは?
強制臓器摘出とも呼ばれ、臓器売買の一形態です。
移植手術のために臓器が本人の合意なく摘出され、その過程で殺害されます。
なぜ中国なのですか?
中国では、他国に見られるような闇社会での臓器売買とは異なり、国家承認のもとで臓器を獲得するために殺害行為が行われています。2000年以来、臓器移植は中国の5カ年計画に組み込まれ、国家を挙げて優先事業として移植産業が進められてきました。
どのような人が中国で移植を受けているのですか?
中国共産党政権の幹部、富裕な中国人、「移植ツーリズム」として国外から移植を受けに中国にいく外国人などが挙げられます。
日本からも中国に移植に行っているのですか?
はい。実際に中国に行った方へのインタビュー記事も存在します。
犠牲者は?
主に「良心の囚人」つまり無実の人々が犠牲者として指摘されています。法輪功学習者、ウイグル人、チベット人、中国家庭教会の一部の信徒などが挙げられています。
無実の人々が殺害されているという証拠は?
1)拘束された法輪功・ウイグル人の身体検査、死体確認の際に家族が深い傷跡を目撃、「名前を言わなければ臓器を取るぞ」という脅し、刑務所内では常識になっているなどが、2018年〜2019年のロンドンで開催された中国・民衆法廷(http://jp.endtransplantabuse.org/%e4%b8%ad%e5%9b%bd%e3%83%bb%e6%b0%91%e8%a1%86%e6%b3%95%e5%bb%b7/)で、証言されています。
2)死刑囚、自発的臓器提供者数、事故死した人の数だけでは、中国での臓器移植件数は支えられません。
3)他国では臓器の待ち時間は数年ですが、中国での待ち時間は数週間から長くて数ヶ月です。生きた臓器バンクとして無実の人々を拘束していなければ不可能です。
なぜ医師が無実の人々を殺害できるのですか?
中国共産党政権下では、「国家の敵」というレッテルを貼られたら、人間以下として扱われます。国家の敵を殺害し、その臓器を国民のために利用することは有益であるという考え方です
日本の医師は関わっていますか?
日本のみならず、世界の移植医療界が中国に協力してきたため、中国の移植医療がここまで発展してきたと考えられます。中日友好医院なども存在し、学術交流、養成の面だけでも、日本の関わりは深いと思われます。
臓器狩り停止のために何かできることはありますか?
正確な情報を得る。議員に提起する。情報を拡散する。中国での臓器狩り停止を求める日本国内での運動(http://smgnet.org/)を支援する。