2010年-スペイン:移植ツーリズムおよび臓器取引と闘えるよう刑法修正

 

新しい刑法にはヒトの臓器の違法売買を重罪とする項目が盛り込まれている。

  • 新しい刑法では、ヒトの臓器の違法売買の調達を奨励・促進・助長・宣伝した者は12年までの禁固刑が課せられる。
  • 違法臓器であることを認識しながら臓器を求める者も禁固刑が課せられる。
  • 臓器の違法売買は、特に発展途上国で、増加している。
  • 現行の刑法では、ドナーへの支払い・報酬を通して臓器収奪することは「傷害罪」である。

現行の刑法の改正を目的とする新しい法案は、2009年11月13日の閣僚会議で、代議院への提出が合意された。保健・社会政策省の率先による、違法のヒト臓器売買の犯罪化が盛り込まれている。

 

下記の内容に鑑みて、刑法第156条に新しい言葉が加えられた

 

1. (第三者の)ヒトの臓器の調達もしくは違法売買もしくは移植を奨励・促進・助長・宣伝した者は、主要臓器の場合は6年から12年、主要でない臓器の場合は3年から6年の禁固刑が課せられる。

2. 違法臓器であることを認識しながら臓器移植に合意して臓器を受ける者は、上述の項目同様に罰せられる。犯罪と犯罪者の状況により1もしくは2程度、緩和されることもある。

3. 第31a条に準じ、刑事責任に該当する法律上の個人に対して、暫定的な処罰として、不動産と設備の2年から5年の閉鎖、ならびにこの重罪から入手した品物、製品、利益の没収が課せられる。

同条文の第1段落では、ヒト臓器売買と宣伝に対する処罰を求める。主にインターネットを通して行なわれており、料金をもって入手する第三者の臓器を求めるか提供する行為である。この新しい重犯罪における連鎖行為は、臓器獲得、臓器移植提供、レシピエントの確保、移植ツーリズムを通しての移植手術の助長に的を絞っている。

第2段落では、移植の違法性を知りながら合意する、臓器を受ける個人を犯罪者とする。このような移植を求める人による支払いが犯罪組織の資金となり不当利益行為に繋がるため、これらの人々を罰せずに、売買を促進し行う者だけを罰する方針は、不十分である。

第3段落では、犯罪組織の撲滅を目的とする。ヒト臓器売買と移植ツーリズムに関連する犯罪は通常、これらを実行する手段と資源を備えた犯罪組織とのからみで犯されている。このため、このような犯罪に関与する法的個人に対し、業務や施設を閉鎖し、得られた収益を差し押さえるなど、直接的な制裁を明確に表現することが適切である。

同様に、ヒトの臓器の違法売買という、この新しい形態の重罪に即して、刑法改正では人身売買の犯罪の適用範囲を拡張する。新たな条文である第177a条は、臓器収奪のために人間を拘束する状況も考慮する。従ってこの法案は、人身売買が、性的および強制労働という手段を通しての搾取を意図する場合にも犠牲者が保護されることとなり、臓器収奪の対象となる犠牲者への保護の必要性を強化する。

 

スペイン刑法 第156条の翻訳文(英文より翻訳)

 

1. 国外のヒト臓器を獲得もしくは違法売買、もしくは移植することを促進、奨励、助長、宣伝する者には、主要臓器の場合は6年から12年、非主要臓器の場合は3年から6年の禁固刑を課す。

2. 臓器移植のレシピエントが違法臓器であることを認識したうえで合意した場合、上記項目と同様に処罰を受けるものとする。犯罪および犯罪者の状況に応じて1および2程度、刑罰が緩和される可能性もある。

3. 第31a条に準じ、この条項で言及された犯罪の責務を負う法的個人に、利潤の3倍から5倍の罰金を課す。

第66a条で定められた法規に鑑み、裁判官と法廷は、第33条、第7段落b) からg) に規定された処罰も課す場合がある。

b) 法的個人の失格。法的人格を正式に失格とする。法的取引、もしくは合法的な活動を含めるいかなる活動においても、行為能力を失う。

c) 活動を最高5年間まで停止する。

d) 敷地や事業を最高5年間まで停止する。

e) 同様の犯罪が犯されるか、補助されるか、隠蔽された場合、将来の活動を禁じる。禁止期間は暫時的もしくは永久的とする。一時的であった場合の期間は最高15年とする。

f) 最高15年間、助成金、支援、公共部門との契約、税控除、奨励金、社会保障を受ける資格の失格。

g) 最高5年間、必要とみなされる期間、職員もしくは債権者の権利を擁護するための司法介入。

第156a条は36段落めに単一条項(Law organic number 5/2010 6月22日付)を導入し、刑法(“BOE” 6月23日付)のL.O. 10/1995 11月23日付を改正した。

 

公式文書