2023 米国 臓器収奪 停止法 H.R.1154(仮訳)

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法案

「臓器収奪および臓器の摘出その他を目的とするヒトの移動」を撲滅するために。

1項:短くした法案名

 『2023年 臓器収奪 停止法』と呼ぶ。

2項:政策に関する声明

下記をアメリカ合衆国の政策とする。

  (1)臓器摘出を目的とする国際的なヒトの移動を撲滅する。

  (2)二国間の外交会談および国際的な健康フォーラムで、効果的な機構を備えた自発的臓器提供制度の設置を促す。

  (3)1948年12月10日に採択された世界人権宣言に準じる人命の尊厳と安全の確保を促す。

  (4)臓器収奪および臓器の摘出を目的とした人身売買に関与した人物の責任を追及する。これには、中国共産党の党員も含まれる。

第3項:定義

 本法の用語は以下の通りに定義される。

(1)「米国国会の該当する委員会」

  (A)上院の外交関係委員会と司法委員会 (the Committee on Foreign Relations and the Committee on the Judiciary of the Senate)

  (B)下院の外交関係委員会 と司法委員会 (the Committee on Foreign Affairs and the Committee on the Judiciary of the House of Representatives)

(2)「臓器収奪」とは、強制、拉致、欺瞞、詐欺、権力濫用、弱者利用を通して、1人の人間から1つ以上の臓器を摘出することである。  

(3)「臓器」とは、国家臓器移植法(42 U.S.C. 274e(c)(1))の301(c)(1) 項に定められた「ヒトの臓器」を意味する。

(4)臓器摘出を目的とするヒトの移動とは、下記の手段を用いて、人間の臓器を1つ以上摘出する目的での、人の勧誘、輸送、移送、収容、受入れを意味する。

A.強制

B.拉致

C.  欺瞞

D.  詐欺 

E.  権力濫用または弱者利用

F. (A)「強要」の前段階で、該当するヒトの管理統制する者の合意を得るための支払や利得の譲渡

第4項:パスポートの拒否・取消の権限

(a) 一般事項 ― 国家臓器移植法(42 U.S.C. 274e)の301項を犯した個人に対して、該当する個人が該当する犯罪においてパスポートを使用したか国境を超えた場合、そのような有罪判決の結果として、米国務省はパスポートの発給を拒否し、禁固刑または仮釈放その他の監督下での釈放を受ける。

(b)パスポートの取消― 米国務省は、(a)で記述されたいかなる個人に対しても、以前に発行されたパスポートを取消すことができる。

第5項:国外での臓器収奪、および臓器摘出を目的とするヒトの移動に関する報告書

1961年対外援助法(22 U.S.C. 2151 など)を下記の通り修正する。

  (1) 116項(22 U.S.C. 2151n) の最後に下記を加える。 
      (h) 「臓器収奪・臓器摘出を目的とするヒトの移動」に関して−

 (1)一般事項 ―(d)款で義務付けられた報告書は、各国における「臓器収奪・臓器の摘出を目的とするヒトの移動」の査定を含むものとする。

 (2)定義 ― 本款で用いられる用語を下記の通りに定義する。   

(A)「臓器収奪」とは、強制、拉致、欺瞞、詐欺、権力濫用、弱者利用を通して、1人の人間から1つ以上の臓器を摘出することである。   

(B)「臓器」とは、国家臓器移植法(42 U.S.C. 274e(c)(1))の301(c)(1) 項に定められた「ヒトの臓器」を意味する。   

(C)「臓器摘出を目的とするヒトの移動」とは、下記の手段を用いて、人間の臓器を1つ以上摘出する目的で、ヒトの勧誘、輸送、移送、収容、受入れを意味する。

(i)強制

(ii)拉致

(iii)欺瞞

(iv)詐欺

(v)権力濫用または弱者利用

(vi)「強制」の前段階で、該当するヒトの管理統制する者の合意を得るための、支払や利得の譲渡。

 (2) 502B項(22 U.S.C. 2304)において−

 (A)2つめの(i)款(子供の婚姻状況に関して)を(j)款とする。       

 (B)最後に下記を加える。   

       (k) 「臓器収奪・臓器の摘出を目的とするヒトの移動」に関して−

“(1)一般事項 ―(b)款で義務付けられた報告書には、各国における「臓器収奪・臓器の摘出を目的とするヒトの移動」の査定を含むものとする。

“(2)定義 ― 本款の「臓器収奪」「臓器」「臓器の摘出を目的とするヒトの移動」の定義は、116(h)(2) 項に記述されたものとする。

第6項: ティア3と指定された国が助長した「臓器収奪・臓器摘出を目的とするヒトの移動」に対する制裁

(a)リストの提出 ―本法律の制定日から180日以内に、大統領は、臓器収奪または臓器の摘出を目的とした人身売買に資金、スポンサー、またはその他の方法で促進すると大統領が判断した各人のリストを、議会の該当委員会に提出するものとする。

(b)制裁の発動 ― 米大統領は(a)款で義務付けられたリストにある個人に関して、以下の制裁を発動する。

   (1)財産の封鎖 ―  米国大統領は、国際緊急経済権限法(50 U.S.C. 1701など) (但し本法 (50 U.S.C. 1701) 202項の条件は適応しない) で付与された全ての権限を行使して、該当する本人の全ての財産および利権がアメリカ合衆国にある場合、あるいはアメリカ合衆国内に入る場合、あるいはアメリカ合衆国の個人が保有もしくは管理しているか・これから保有もしくは管理することになる場合、該当する全ての財産および利権を封鎖・禁止する。

   (2)外国人のビザ、入国許可、仮釈放の否認

    (A)ビザ、入国許可、仮釈放 ― 個人の場合、個人に下記が適用される。

      (i)米国への入国は許可されない。

      (ii)米国に入国するためのビザまたはその他の書類は受け取れない。

      (iii)移民国籍法(8U.S.C.1101など)に基づき、米国への入国または仮釈放またはその他の利得を受け取ることは認められない。

    (B) 現在のビザの取消し

     (i)一般事項 ― 該当する個人のビザその他の入国書類は、いつ発行された    かにかかわらず、取消される。

     (ii)即時適用 ―(i)の取消は

        (I)即時に適用される。

        (II)該当する個人が保有するその他の有効なビザまたは入国書類は自動的に取消される。

    (c)例外 ―

  (1) 製品の輸入に関する例外

   (A)一般事項 ― (b)(1)款に基づく制裁を発動するための権限と条件には、製品の輸入に関する制裁のための権限と条件は含まれない。

   (B)物品の定義 ― 本段落の「物品」とは、いかなる成形品、天然または人口の物質、素材、供給品もしくは(検査・試験装置を含む)製造品を意味し、技術データは除かれる。

  (2) 国際的な義務に準ずるための例外 ― 該当する個人の入国が、1947年6月26日にサクセス湖で調印され1947年11月21日に施行された国連本部に関する国連とアメリカ合衆国との間の協定、および1963年4月24日にウィーンで締結され1967年3月19日に施行された領事関係条約、その他の国際協定に準ずるために、個人の入国を必要とする場合は、(b)(2)款は適用しない。

  (3) 人道的な援助の提供に関する例外

             下記の取引や取引を円滑に図るために本条を課さないことがある。

              (A)農産物、食品または医薬品の販売に使用するため。

              (B) 重要な人道的支援のため。

              (C) 重要な人道的支援関連、重要な人道的目的のため。

              (D) 重要な人道的な業務を遂行するために必要物品の輸送または役務遂行のため。

        (4) 権利放棄
              大統領は、ケースバイケースで、それぞれ180日を超えない期間、本条に基づき人物  に関して課される制裁または制限の適用を放棄することができる。ただし、大統領は、かかる放棄が発効する15日前までに議会の該当委員会に対して、放棄が合衆国の国家安全保障上の利益に不可欠であると証明した場合に限る。

 (d)実施;処罰

  (1)実施 ― 本項を実行するために、米大統領は国際緊急経済権限法(50 U.S.C 1702および1704)の203項および205項で規定された全ての権限を行使する。

  (2)処罰 ― 本項もしくは本項を実行するために発行された規制、許可、命令に違反した者、違反しようとした者、違反を共謀した者、または違反を引き起こした者は、本項(a)款に記述されている違法行為を犯したものとして、国際緊急経済権限法(50 U.S.C 1705)の206項の(b)(c)款で定められた罰則の対象となる。

  (e)定義 ― 本項では、

  (1)「個人」とは下記を意味する。

               (A)個人または団体。
               (B)非国家主体(この用語は公法114-281で定義されている)を含む;

  (2)「アメリカ合衆国の個人」とは下記を意味する。

     (A)アメリカ合衆国の市民もしくは合法的にアメリカ合衆国への永住権を認められた外国人。  
               (B)アメリカ合衆国の法律もしくはアメリカ合衆国の司法権に基づいて組織された事業体。そのような事業体の海外支部も含まれる。

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2023年3月27日 米下院で可決。